介護が必要になったら何をすればいい?介護サービスを受ける方法とは

公開日: 2022年05月02日

更新日: 2022年05月20日

  • 介護・高齢者施設

もしも家族に介護が必要になったらと考えると、心配になる人は多いでしょう。 ここでは介護の形や介護サービスに、どのようなものがあるのかという点を見ていきます。

また、介護サービスを受けるための手続きについても確認しておきたいものです。 更に、介護が必要になる前に準備しておきたいことについても紹介します。

介護が必要となる主な原因とは?

内閣府の高齢社会白書(令和2年版)によると、介護が必要になる主な原因として最も多いのは認知症で18.7%です。
次に多いのが脳卒中(15.1%)で、高齢による衰弱(13.8%)、骨折・転倒(12.5%)と続きます。
また最近では要介護者が増加しており、平成29年度に要介護や要支援の認定を受けた人は65歳以上の18.0%に上るとのことです。
高齢になれば、いつ介護が必要になるかわかりません。 あらかじめ介護に関する知識を得て、準備をしておくことが大切です。

介護の方法とは?

施設介護

介護が必要になった時、高齢者のための施設に入所して、世話をしてもらう方法です。 いわゆる老人ホームや、介護療養病床と呼ばれる医療施設で生活することになります。
このような施設のメリットは、専門の介護スタッフや医療従事者によって世話をしてもらえるということ。 プロによる介護が受けられることや、夜間も十分な対応が可能という安心感があります。

また、家族の負担が軽くなるという点も大きな利点と言えるでしょう。 一方、施設での介護ではデメリットもないわけではありません。
一つは、多額の費用がかかる可能性があること。 民間の老人ホームの場合、介護費や生活費以外に、入居一時金や管理費などの負担があります。
公的施設である特別養護老人ホーム等なら費用負担は軽いのですが、希望者が多くすぐには入居できないことも。 また、家族と離れて慣れない集団生活をすることに抵抗を感じる高齢者もいるでしょう。

在宅介護

自宅で高齢者の介護をするのが、在宅介護と呼ばれる方法です。 家族が要介護者の身体介護や生活の世話をするほか、介護サービスを使うこともできます。
介護保険のサービスを使えば、自宅にスタッフが訪問して身体介護や生活援助をしてくれるのです。

また、日中はデイサービスやデイケアと呼ばれる施設に通所して介護を受けることもできます。 在宅介護のメリットの一つは、要介護者が生活のパターンを大きく変えずに済むということ。
老人ホームのように一日のスケジュールが決められているわけではないので、自由に生活できます。

また、費用負担が比較的軽いという点も利点と言えるでしょう。 一方、在宅の場合は家族に負担がかかることも多く、プロの介護と比べると十分な世話ができない可能性もあります。

遠距離介護

遠距離介護とは、離れて生活している家族のもとに通いながら介護をすることです。 週末などに家族のもとに出向いて面倒をみてあげ、その他の日は訪問介護などを利用します。
例えば、親と離れた地域に生活の基盤がある場合、仕事などを辞めて実家に帰るのは難しいこともあるでしょう。 かと言って、親が子供の住んでいるところに転居するのは抵抗があるという場合もあります。
このような時、介護する側も介護を受ける側も、生活を大きく変えずに介護ができるというのが遠距離介護のメリットです。
一方、通うための費用負担が大きくなる可能性があり、夜間の見守りなどに不安があるという問題もあります。

介護が必要になったら何をすれば良い?

①相談

自分や家族に介護が必要かもしれないと思った時は、まず自治体の高齢者支援担当、または地域包括支援センターで相談をしましょう。
入院中なら、病院にケースワーカーがいて相談できるかもしれません。 今の状況を説明し、介護保険や高齢者支援のサービスで利用できるものはないか聞いてみましょう。

また、地域包括支援センターやかかりつけの病院で、体調のトラブルに関して、どのようなケアや対応が望ましいか相談することもできます。
身体が思うように動かず日常生活に不便が生じている時や、認知症の問題行動で困っている時などには、専門家に相談することで、解決方法が見つかるかもしれません。

②要介護認定の申請

介護保険を使ってサービスを受けるためには、まず介護が必要だという認定を受ける必要があります。 住んでいる市区町村の窓口で、認定を受けたいという申請をしましょう。
申請をすると、自治体から調査員が派遣されてきて、本人や家族から聞き取り調査を行います。

また、主治医からは本人の体調に関する意見書が提出されるのです。 このような調査や意見書をもとに、1~2か月で要介護かどうかという認定が下ります。
介護が必要な人については、心身の状況に応じて介護度が示されるでしょう。 介護度には「要支援1~2」または「要介護1~5」があり、介護が必要ないと判定された人は「非該当」という通知がきます。

③ケアプランの作成

要支援・要介護と認定された場合は、今後どのようなサービスを受けるべきか計画を立てます。 これが、ケアプランと呼ばれるものです。
要支援の人の場合は、お住いの近くにある地域包括支援センタ―で相談しケアプランを作ってもらいます。 地域包括支援センターは、高齢者の支援のため、身近な地域に設置されている相談機関です。
一方、要介護と認定された場合は、居宅介護支援事業所に行き、ケアマネージャーという人と一緒にケアプランを作成します。
居宅介護支援事業所とは、自宅を中心に介護を受ける人を支えるため、地域にある様々な介護サービス事業所と利用者をつないでくれるところです。なお、施設に入所する場合は、その施設のケアマネージャーと相談をしてケアプランを作ります。

④介護サービスの利用

ケアプランが決まったら、それに基づいて介護サービス事業所と契約をします。 契約や介護保険の受給については、地域包括支援センターやケアマネージャーが手伝ってくれるでしょう。
在宅で受けられる介護サービスには、訪問介護や生活援助介護施設への通所自宅のリフォームなどがあります。

例えば、訪問介護では排せつや入浴の介助が行われ、洗濯や買い物などの家事を手伝ってもらうこともできますよ。
自宅で安全に生活できるように、段差解消の工事や手すりの取り付けなどをする人もいます。 いずれも、介護保険を使えば、一部の自己負担だけで行える可能性があるものです。

介護が必要になる前に準備するべきことは?

資金を用意する

介護を受けるためには、一定の費用が必要です。 例えば、公的な介護保険を使ったとしても、所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。 紙おむつ代や医療費なども、必要となる可能性がありますね。
また、もし施設に入所するということになれば、入居一時金、管理費などの費用が掛かるでしょう。 資金を事前に準備しておけば、急に介護が必要になった時に慌てなくてすみます。
また、できるだけ本人の希望に沿った介護をしようと思うなら、十分な資金が必要です。 いざという時に備えて、できるだけ若いうちからNISAや積み立て定期などで資金をためておくとよいですね。
また、公的介護保険は強制加入ですが、それを補うために民間の介護保険もあるので検討してみましょう。

介護保険サービスについて情報を集める

介護保険を使えば、介護サービスを少ない自己負担で利用できます。 しかし、そのためには、前述したように申請し審査を通ることが必要です。
申請の手続きや審査の基準などについては、あらかじめきちんと調べておきましょう。 それによって、スムーズに手続きを進められ、介護保険を使えるようになります。
本人が住んでいる自治体の担当窓口や、申請の際に必要な書類を調べておきましょう。 また、介護サービスの内容などについても知識を得ておきたいものです。

家族内で話し合いをする

高齢者の家族がいる人は、介護について話し合う機会を持ちたいものです。 介護を受けるとしたら、どのような形がいいのかということや、介護費用について、本人や他の家族の考えを聞いておきましょう。
介護を受ける本人に対しては、在宅介護と施設介護のどちらがよいかなど聞いておきます。 その上で、実際にそれが可能かどうか家族の状況を伝え、方向性を考えていきましょう。

また、親の介護をするなら、そのために使える預金があるかどうかも確認したいものです。 施設に入居してもらうなら、自宅を処分して資金を作るなどの相談も必要になります。
きょうだいがいるなら、親の介護をするにあたって、それぞれがどのような役割を持つのかという点も話し合いましょう。 誰かが大きな負担を抱えて、不公平と感じないように役割を分担することが大切です。

介護が必要になったら介護サービスを上手に使えるよう準備しておこう

介護保険のサービスを上手に使えば、介護が必要になった時の大変さはかなり軽減されます。 身体が不自由になった時や認知症になった時も、少ない自己負担で手助けをしてもらえるからです。
どのようなサービスがあり、どんな手順で介護保険を使うのか事前に調べておきましょう。 介護が必要になった時に慌ててしまわないよう、話し合いやお金の準備をしておくことも大切です。

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