介護における車椅子の役割とは?メリットやポイントもご紹介!

公開日: 2023年02月13日

更新日: 2023年02月13日

  • 介護・高齢者施設

介護が必要な人が使う車椅子には、どのような役割があるのでしょうか。
ここでは、介護の中で車椅子を使う目的やメリットについて説明します。

また、車椅子には様々な種類のものがあるので、タイプ別にみていきましょう。
介護に使う際は、利用者に合うものを選ぶことが重要です。

更に、介護保険を使ったレンタルの方法についても解説します。

介護における車椅子とは?

車椅子とは、身体機能に障害のある人が、主に移動のために使う車輪のついた椅子です。
ケガや病気で足腰に障害が生じて歩けなくなった人も、車椅子を使うことで移動が可能になるでしょう。

また、老齢や病気のため体力が衰えている人を移動させるためにも使われます。
介護が必要になった人の日常生活にも、大いに役立つのが車椅子です。

身体状況によって様々なタイプの車椅子があり、自宅・介護施設などでも使われます。
高齢者の生活を支えると同時に、介助者の負担を軽くする効果も期待できますね。

車椅子の分類

自走式

車椅子の種類は、大きく分けて「自走式」「介助式」の二つがあります。
自走式とは、利用者本人が自分で動かして移動するものです。

車椅子には、座った体の両側にある大きな後輪と足元の前部両側にある小さな前輪があります。
自走式の車椅子には後輪の外側にハンドリムというものが付いており、通常はこれを押して進むのです。

介助式の物と比べると、やや大きいブレーキが付いているのも自走式の特徴といえます。
自走式の中にも様々な種類があり、片手で操作をするタイプ・脚で地面を蹴って移動するタイプもあるのです。

基本的に、筋力が一定以上残っている利用者しか使えません。

介助式

介助式の車椅子には、介助者が手で押すためのハンドルがついています。
座った利用者の背後に立ち、ハンドルを押すことで移動するのです。

介助式の場合、基本的に自走式のものに比べると小さく、コンパクトにできています。
軽量で小回りが利くので、介助者が操作しやすいのです。

自力では車椅子を操作できない人寝たきりの人でも使える可能性があります。
利用者が車いすから降りた後は、折りたたむことができるので、収納や持ち運びがしやすいといえるでしょう。

車椅子の種類

標準型

一般的に多くの方の自宅や介護施設等で使われている、スタンダードなタイプの車椅子です。
自走式と介助式の両方がありますが、サイズなどの種類は多くありません。

標準的な体形の人で、自力で座る体勢を取れる人が使用できます。

リクライニング・ティルト機能タイプ

車椅子の中には、背もたれを後ろに傾けられるリクライニング機能がついているものもあります。
背もたれに深く寄り掛かることができるので、疲れた時に休むことができるでしょう。

また、寝たきりの人などは自力で座る体勢になれないので、背もたれを倒した状態で乗せる使い方もあります。
身体の状況によっては、このようなタイプを利用するとよいでしょう。

その他、ティルト型といって、座面と背もたれの両方が傾くタイプもあります。
座った姿勢のまま後ろに傾けられるので身体がずれにくく、体圧を分散できるタイプです。

六輪車タイプ

多くの車椅子には、大きめの後輪2個と小さい前輪2個がついています。
しかし、合計6個の車輪がついているタイプもあるのです。

大きめの主輪2個は車いすの中央部近くにあり、前後に2個ずつの小さい車輪があります。
このタイプは小回りが利くので、狭い室内でも自由に動くことができるのです。

敷居なども乗り越えやすく、自宅内で小まめに移動したい人に向いています。

モジュール・多機能タイプ

モジュール型の車椅子とは、利用者の身体の大きさや状況によってサイズを変えられるものです。
例えば、座面の高さや幅、アームレストの高さなどを調節できます。

その人の身体に合わせて調節できるので、身体が安定して楽に座れるでしょう。
小柄な人などは、大きすぎる車椅子だと揺れた拍子に身体がずれる危険があるので、このようなタイプを使うと安心です。

また、多機能型の場合は、アームレストやフットレストが動くようになっています。
車椅子からベッドに移る際などは、アームレスト等が邪魔になるので、このような機能がついているのです。

電動タイプ

電動で移動できるタイプの車椅子です。
利用者や介助者が力を使わなくても、楽に移動ができます。

ただし、重量がかなりあることバッテリーの充電が不可欠なことに注意が必要です。

車椅子を使うメリット

移動を助けて行動範囲を広げる

身体的な問題があって自力では移動が難しい人でも、車椅子を使えば行きたい場所へ移動できます。
これによって、高齢者の行動範囲が広がり、生活の質が高まるでしょう。

また、本人の身体能力によっては、少し長い距離を移動する際、杖の使用や介助者の手助けだけでは不安な場合があります。
車椅子を使うことで、転ぶことなく安全に移動できるでしょう。

また、車椅子を使えば、座った姿勢で日常生活を送り、ベッドから離れて過ごす時間を増やせます。

負担を和らげて姿勢を保つ

車椅子を使って生活をすると良い姿勢を保てるので、高齢者の持つ様々な症状の悪化を防ぐことができます。
例えば、身体を起こして生活することで、体幹の筋肉が刺激され、体力の低下を押さえられるでしょう。

また、寝たきりの人に起こりやすい褥瘡や拘縮の症状を防げます。
車椅子で過ごすことで、様々な外部の刺激を得られ活動的になるので、認知症の悪化も防げるのです。

車椅子で移動することができれば、介護者の負担は軽くなります。
利用者としても自力で車椅子を動かせるようになると、介護者に気兼ねする場面が減るでしょう。

車椅子選びのポイント

利用する場所や目的に合わせる

車椅子を選ぶ際には、主に屋外で利用するのか、室内で利用するのかという点が一つのポイントとなります。
例えば、室内で使いやすいのは車輪の小さい小回りの利くタイプです。

また、自宅などで利用する場合は、廊下やベッドサイドなどの幅を計り、十分に通れるか確認が必要でしょう。
更に、段差の有無などバリアフリーという点も確認した上で使いやすいものを選ぶことです。

自宅で長時間座っているのであれば、クッションやリクライニングなど楽に過ごせる機能があると便利かもしれません。

利用者の状況に合わせる

車椅子は、利用者本人の身体の状況や能力に応じて選びましょう。
自分で操作し安全に移動できるようなら自走式が向いていますが、そうでなければ介助式となります。

普段ベッドで過ごしていて、トイレに連れていく必要がある人なら、車いすへの移乗がしやすい機能があると便利です。
車椅子には、様々な種類の機能・サイズのものがあるので、利用者や家族だけでは選びきれないかもしれません。

ケアマネジャーや福祉器具専門相談員など、専門家に相談をしながら選ぶとよいでしょう。

大きさや高さを合わせる

車椅子を安全で快適に利用するためには、身体に合うものを選ぶことが重要です。
座幅やアームレスト、フットレストの高さなどは、利用者の体格や身長などに合わせましょう。

身体に合わないサイズのものを使い続けると利用者に負担がかかり、場合によっては身体機能を損ねることにも繋がります。
サイズを計って身体にあったものを選ぶだけでなく、レンタルや購入の前に実際に座ってみて試してみることも必要です。

車椅子の購入・レンタル

車椅子の購入

メリット

車椅子を利用するには、レンタルする方法と購入する方法があります。
購入した場合のメリットは、レンタルと比べて使用の際の気遣いが少なくて済むということです。

自分のものとして自由に使えるので、汚れたり傷が付いたりしても気にせずに使えるでしょう。
また、レンタルの方が費用が掛からないと感じるかもしれませんが、購入の方が費用を抑えられる場合があります。

例えば、長期間利用する場合や、介護保険の利用ができない場合には、レンタル料金の負担が大きくなる可能性があるのです。
費用を比較してみて、どちらが経済的か検討するとよいでしょう。

車椅子のレンタル

メリット

レンタルのメリットは、なにより初期費用が抑えられるということ。
車椅子の価格は安いものでも2万円ほどで、機能によっては10万を超えるものもあります。

レンタルにすれば、一度にまとまったお金を用意せずにすみますね。
また、レンタルの場合は定期的にメンテナンスをしてもらうこともでき、必要なら修理や交換なども可能です。

使わなくなった時は、返却するだけで引き取ってもらえるので、処分の手間がかかりません。

介護保険の利用

車椅子のレンタルには、介護保険が適用されることがあります。
在宅介護を受ける人が、介護・福祉用具のレンタルとして申請をすれば、1割(収入によっては2~3割)の自己負担で利用できるのです。

ただし、介護保険を利用するには、要介護認定を受け、車椅子利用が必要だと認めてもらわなくてはなりません。
特に、日常的に歩行が困難である人や、移動の支援が必要な人が対象です。

レンタルの流れ

介護保険を使ってレンタルする場合、まずは本人の住む市町村で要介護認定の申請をしなくてはなりません。
介護認定が下りたら、担当者(ケアマネジャー)と相談をしケアプランという介護計画を作成します。

その中で、車椅子のレンタルをすることが決定したら、レンタル会社を選びましょう。
レンタル会社探しも、ケアマネジャーが相談に乗ってくれます。

介護用品のレンタル会社には、必ず「福祉用具専門相談員」という選び方のプロがいるものです。
どの車椅子がその人に合っているか、提案してくれるでしょう。

レンタルする車椅子が決まれば、契約をしてレンタルが開始されます。
その後も定期的にモニタリングが行われ、必要であれば車椅子のタイプを変更することも可能です。

介護用の車椅子は専門家に相談してその人に合ったものを選びたい

介護が必要な人が車椅子を使うと、楽に移動が出来るようになり介護者の負担も減ります。
生活の質を高めるために、車椅子の利用は大きく役立つでしょう。

今は様々な種類の車椅子があるので、その人に合ったものを選ぶことが重要です。
ケアマネジャーや福祉用具のレンタル業者に相談して、利用目的や身体状況に合うものを選びましょう。

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