寝たきりでの介護?利用できる介護サービス・施設をご紹介!

公開日: 2022年05月11日

更新日: 2022年05月20日

  • 介護・高齢者施設

年齢を重ね心身が弱ってきた高齢者は、寝たきりになってしまうことがあります。 このような時、どのように介護をしていけばよいのでしょうか。
ここでは、寝たきりになる原因や、寝たきりの人が利用できる介護サービスについて紹介します。 また、自宅で生活できなくなった時、利用できる施設についても、確認しておきたいのものです。

寝たきりとは?

寝たきりというのは、日常生活の多くの時間をベッドの上で過ごす人のことを指します。 食事や排せつ・移動には、誰かの介助が必要な状態です。
心身に障害がある高齢者の中には、このような状態になる人も出てきます。 程度が軽い人は、食事や排せつの時に起き上がることもできますが、それが難しくなることもあるのです。
寝たきりの状態が続くと、筋力が低下し、関節が固まってしまうこともあります。 床ずれや誤嚥性肺炎の危険も高まり、精神的にもうつや認知症になりやすいと言われているのです。

寝たきり度とは?

障害のある高齢者が、どの程度、自立して生活できるのかを示す指標として「寝たきり度」と呼ばれるものがあります。 障害高齢者の日常生活自立度というのが、その正式な名称です。
介護保険における要介護度の認定には、この寝たきり度が一つの指標として使われます。 寝たきり度の分類は、大きく分けて、「生活自立・準寝たきり・寝たきり」の3つです。
「準寝たきり」の人の場合、「生活自立」の人とは異なり介助なしには外出できません。

しかし、屋内での生活は概ね自立しています。 一方、「寝たきり」の人の場合は、屋内でも何らかの介助が必要となるのです。
この状態になると、必要な時には起き上がれる人もいますが、常に横になって過ごすことしかできない人もいます。

寝たきりになる原因

身体的な原因

高齢になると、脳卒中などの病気になり身体に麻痺が残る人もでてきます。 リハビリによって回復する人もいますが、そのまま寝たきりになってしまうこともあるのです。
また、転んで骨折をする人や、関節痛・神経痛などの整形外科的疾患も増えます。 関節リウマチによって、痛みや関節のこわばりなどの症状が出る人もいるでしょう。
このようなことがきっかけで身体を動かすことが億劫になり、それが寝たきりの原因になることもあるのです。
また、90歳を超えるような長寿の人の場合、自然と老衰が進み、活動性が鈍って横になることが増えてしまうこともあります。

精神的な原因

高齢になると、仕事をやめることになり、運動する機会や人と接する機会が減ってしまう可能性があります。 そうなると、脳への刺激が少なくなり、認知機能が低下してしまうことがあるのです。
特にアルツハイマー型認知症の場合、初期段階では身体には問題ありませんが、症状が進むと寝たきりになることがあります。

また、高齢になると身体が思うように動かないことなどから、精神的に落ち込んでしまうことも。 その結果、活動性が鈍ってしまい、寝たきりになる可能性もあるのです。

寝たきりの方が利用できる介護サービス

訪問介護

自宅で生活する寝たきりの人は、介護保険を使って訪問介護を受けることができます。 プロの介護スタッフが自宅に来てくれて、世話をしてくれるのです。
訪問介護で行ってくれるサービスには、身体介助と生活援助があります。 身体介助とは、食事や排せつ、入浴の介助を行うものです。
生活援助とは、家事のサポートのこと。 寝たきりの人のために、洗濯や調理、掃除などを行ってくれます。
その他、訪問入浴介護と言って、専用のバスタブをリビングなどに持ち込み横になったまま入浴させてくれるサービスもありますよ。

訪問看護

介護保険を使って、訪問看護を受けることもできます。 医師の指示に従い、自宅に看護師が訪問して医療的なケアをしてくれるものです。例えば、血圧や体温などをチェックし、体調を把握してくれます。

また、服薬の指導、注射、医療機器の管理などもできるのです。 寝たきりの人の場合、床ずれになることも多く、そのケアや予防についても看護師が対応してくれます。
このように、体調の管理が必要な寝たきりの人の場合、主治医やケアマネージャーと相談して訪問看護をしてもらうと安心です。

訪問リハビリテーション

寝たきりの人は、医療機関などの施設に通ってリハビリを受けるのが困難です。 そのため介護保険のサービスの中には、専門家による訪問リハビリがあります。
例えば、理学療法士に自宅に来てもらい、機能訓練やマッサージをしてもらうことも可能です。 発声や会話が不自由な人、飲食物を飲み込むことが難しくなった人には言語聴覚士によるリハビリもあります。
自宅でのリハビリなら移動の大変さもなく、マンツーマンでのリハビリが受けられるメリットもありますね。 寝たきりの人でも、痛みの軽減や機能回復が期待できるでしょう。

居宅療養管理指導

医療の専門家が自宅を訪問し、療養のための管理・指導を行うサービスです。 必要に応じて、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などが訪問します。
例えば、医師や歯科医師が療養の仕方や介護サービスの受け方について指導。 薬剤師なら、適切な服薬ができているか確認し、指導してくれます。
管理栄養士は、バランスよく十分な栄養が取れているか、食事制限がきちんと守れているかなども確認。 飲み込みやすい食事の工夫なども教えてくれます。
歯科衛生士は、入れ歯の管理や歯磨きについて指導してくれ、嚥下の問題についても相談に乗ってくれるでしょう。

福祉用具貸与

福祉用具というのは、介護に使う用具の中でも介護保険の対象となるものを指します。 レンタルや購入をするときに、介護保険を使えば少ない自己負担で済むのです。
特に、寝たきりの人の場合は、身体を起こすのが大変なので電動で起き上がれるベッドなどを借りるとよいでしょう。

また体位変換器を借りると、介護者の負担を減らすことにつながります。 その他、車いすや移動用のリフト、自動排せつ処理装置なども必要に応じて借りられるのです。
直接、身体に触れる入浴用のいすなどは、レンタルになじまないので購入することになります。

自治体の助成制度

自宅で介護をしている家族をねぎらうために、自治体が支援金を出していることがあります。 所得制限などの条件があるかもしれませんが、お住まいの自治体にそのような制度がないか確認してみましょう。

また、介護用品にかかる費用を支援してくれる自治体もあります。 紙おむつやドライシャンプーなどにかかる費用の助成や、クーポン券の発行などです。
寝たきりの人の介護については、できるだけ介護サービスを利用したいものですが、本人の拒否などで使えないことがあるかもしれません。
このように家族だけで介護をして介護保険を使わない人に、慰労金を支給している自治体もあります。

寝たきりの方が入ることができる介護施設

自宅での介護が困難な人の場合は、施設に入所して介護をしてもらうこともできます。
家族の負担が大きい場合や1人暮らしの人、医療的なケアが必要な人のためには、以下のような介護施設もあるので検討してみましょう。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設は、特別養護老人ホーム、略して特養と呼ばれることもあります。 入居できるのは、原則的に要介護3以上の人と定められていますが、寝たきりの人の多くがこれに該当するといえるでしょう。
特養のメリットは、公的施設なので費用負担が軽いことで、有料の老人ホームのような入居一時金や管理費は不要です。
介護を受けるための費用の他、居住費・食費・日常生活費などの支払いが必要ですが、世帯収入によって限度額が定められている部分もあります。

なお、夜間の見守りはしてくれますが、看護師が夜間配置されていない施設も。 この場合、24時間の医療的なケアが必要な人は入居ができないこともあります。

また、認知症が進んだ人や感染症の人は、入居を断られる場合もあるので、注意が必要です。 費用負担が軽い分、人気があってなかなか空きが見つからない施設もあります。

介護老人保健施設(老人保健施設)

介護老人保健施設は、略して老健とも呼ばれます。 何らかの病気やケガがあり、リハビリが必要な人が入所するところです。
介護度は要介護1から利用できますが、病気の状態が安定していて入院は必要ない人に限ります。
一定のリハビリを受けて、自宅に戻れるようになることを目的としている施設です。 特別養護老人ホームと同じく公的な施設ですが、医療ケアやリハビリが行われ、夜間も医療体制が整っています。 自宅復帰を目指すという点も、特養との大きな違いといえるでしょう。

介護医療院

介護医療院は、2018年に制度化された新しいタイプの介護施設です。 医療ケアが充実している施設で、医師や看護師が常駐、医療法人等によって運営されています。
長期の療養が見込まれ、24時間の医療ケアが必要な人が対象となっており、施設内での看取りも可能です。
必ずしも、自宅に戻ることが目的とされておらず、レクリエーションが行われるなど生活の場としての体勢が整っている点が老健との違いといえるでしょう。
介護保険が使えるので、有料老人ホームよりも費用負担は少ないのですが、食費や居住費などがかかるので在宅と比べると費用がかかるのは確かです。
老健とは異なり、終の棲家となるわけですから、その分費用総額がかさむことを考える必要があります。

介護療養型医療施設(療養病床等)

療養病床等とも呼ばれる介護療養型医療施設は、長期療養が必要な要介護者が利用する施設です。 病状は落ち着いているけれども、医療ケアと介護が必要という人が対象となっています。
入居一時金は不要で、有料老人ホームより費用負担は軽いのですが、特養や老健と比較するとやや高額になります。 看護師と介護スタッフが常駐していますが、レクリエーションはなどはありません。

ただし、このタイプの施設は介護医療院の制度ができたために廃止されることとなりました。 2023年度いっぱいで廃止となるために、介護医療院への転換を図る施設も出てきています。

寝たきり介護のために様々な制度や施設があることを知っておこう

寝たきりの人は、誤嚥性肺炎や床ずれなど健康を損ねる恐れが高くなります。 できれば、家族だけで抱え込まず、プロの手を借りたいものです。
在宅でも、介護保険を使って様々な介護サービスや医療ケアを受けることができます。 家族の負担を軽くするだけでなく、本人のためにもサービスの利用を検討しましょう。
また、どうしても必要な場合は、施設への入居も考えることになります。 いざという時に備えて、施設の種類や違いについて知識を得ておきたいものです。

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