少人数制の認知症対応型通所介護とは?選び方のポイントについても!

公開日: 2021年12月16日

更新日: 2023年03月13日

  • 介護・高齢者施設

認知症対応型通所介護とは、認知症デイサービスとも呼ばれます。
これは、どのようなサービスなのでしょうか。

ここでは、認知症対応型通所介護で行われているサービスの内容について解説します。
他のデイサービスとは、どのような点で異なるのか確認しましょう。

またその費用や利用方法、本人に合った施設を選ぶ方法についても説明します。

認知症対応型通所介護とは

認知症対応型通所介護とは、要介護であり、かつ認知症の人が施設に通って支援を受けられるサービスを指します。
アルツハイマーや脳血管障害などで認知症になった人の、自立した生活を支援することが目的です。

例えば、排泄や入浴、食事の介助が行われ、リハビリなども提供されます。
内容的には通常のデイサービス等と似ていますが、特に認知症の人への対応に特化していることが特徴です。

事業所の形としては、認知症対応型通所介護のみを提供する単独型の他、特養や老健に併設される併設型、認知症グループホーム等の共用部分で提供される共用型の三つにわかれます。
なお、このサービスは「地域密着型サービス」と呼ばれるものの一つであり、身近な場所にある施設を利用した少人数でのアットホームな支援が特徴です

認知症対応型通所介護と通所介護との違い

認知症のケアに特化

このサービスを利用できるのは、認知症という診断を受け、要介護と認定された人です。
そのため、施設のスタッフも認知症の方のケアに精通している人となっています。

特に事業所の管理者は、「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了していなければなりません。
認知症のケアや、施設の管理・運営についてしっかり学んだ人が管理をしているのです。

認知症の人は、病気の特性上、不安や混乱が生じやすいのですが、それに対して適切なケアが得られるでしょう。
他の施設では馴染みにくかった人や対応が難しい人でも、ここならうまく生活できるかもしれません。

定員や配置基準

このサービスを提供している施設の利用定員は、12人以下です。
このような少ない利用者に手厚いスタッフが配置されており、一般の通所介護よりも職員の体制がしっかりしているといえるでしょう。

認知症の人は個別に異なる対応が必要なことが多いので、このような体制が作られているのですね。
例えば、単独型・併設型の人員配置基準は、生活相談員1名、看護師か介護職員2名、機能訓練指導員1名、管理者1名です。

なお、共用型の場合は本体施設の人員配置に準ずることになっています。

地域密着型サービス

認知症対応型通所介護は、地域密着型サービスの一つに位置づけられています。
つまり、本人の住む市町村内にある施設を利用することになっているのです。

通常の通所介護の場合、必ずしも地域密着型であるとは限りません。
しかし、認知症対応型の通所介護の場合は、すべて地域密着型であり利用する人が限定されています。

これは、本人が長年暮らした地域内で支援を行うためです。
認知症の人は、環境の変化に対応できないことが多いので、身近な場所にある施設の方が安定しやすいといえます。

また、サービスの中では地域の人がボランティアに訪れたり、ご近所のイベントに参加することもありますよ。

認知症対応型通所介護の利用対象者

このサービスを利用できるのは、認知症であると診断され、かつ要介護1以上と認定された人です。
介護認定と、認知症の診断の両方が必要となります。

また、地域密着型サービスであるため、その事業所がある自治体に住民票がある人でないと利用できません。
サービスを受ける本人の住まいがどこかということが問題なので、家族が離れて住んでいる場合などは注意が必要です。

ただし、場合によっては他の地域の住民にも利用を許可している市区町村があります。
利用が可能かどうかや配慮される事情は自治体によって異なるので、確認が必要です。

なお、単に認知症であるというだけでは利用できず、介護認定で要支援とされた場合は対象外となります。
ただし、この場合は「介護予防認知症対応型通所介護」の利用が可能です。

認知症対応型通所介護の利用の流れ

このサービスを利用するには、まず介護認定を受ける必要があります。
認定を受けていない人なら、本人が住んでいる市区町村の窓口で申請をしましょう。

介護認定の結果、要介護という認定になれば、ケアマネジャーという担当相談員を決めます。
このケアマネジャーに相談をして、受けるべきサービスの内容やどの事業所と契約するかを決めるのです。

すでに介護認定を受けている人は、担当のケアマネジャーに相談しましょう。
認知症の診断をしてくれる医師や、地域にあるサービス事業所を探してくれるはずです。

その後、施設見学や利用体験をし、それを元に、どの事業所に通うか決めましょう。
事業所が決まれば職員との面談が行われるので、ここで利用者の身体・精神状況を詳しく伝えます。

その後、利用する日を決め契約を結んで、実際の利用が始まるのです。

認知症対応型通所介護のサービス

このサービスでは、日常生活のケアや健康チェック、リハビリなどが行われます。
例えば、食事が用意され、必要なら食べる時の介助をしてくれるのです。

また、その人の能力に応じて排泄や入浴の介助もしてくれます。
できるだけ自立して日常を送れるようにという配慮から、必要な部分のみの手助けをするように工夫するのです。

リハビリについても、認知症の人に適したプログラムが用意されています。
生活機能を維持・向上するのが目的なので、あえて食事の調理を一緒に行うこともありますよ。

施設によっては、レクリエーションや季節のイベント参加などのプログラムも用意されています。
また、基本的に車などで自宅と施設の間の送迎も行われることになっているので、家族の負担もありません。

認知症対応型通所介護の費用

このサービスの利用料は、事業所の形態や利用する時間、また要介護度に応じて変わります。
基本的に単独型、併設型、共用型の順に安くなり、要介護度が高くなるに従って高くなるのです。

自己負担額はほとんどの人が1割負担で、要介護1の人が単独型で8時間利用した場合、一回につき1,000円強が目安となります。
ただし、所得の多い人は2~3割負担になることもあるので注意が必要です。

なお、送迎費用はこの利用料金に含まれています。
一方、食費やその他の日常生活費は別料金です。

また、事業所の特色やサービスの内容によって加算が行われることもあります。
例えば、入浴介助を行った場合は1回につき40円の加算です。

ひと月当たり、どのくらいの費用が必要なのかという点については、事業所の見学や面談の際に概算を聞いておきましょう

認知症対応型通所介護の事業所選びのポイント

見学に行ってみる

事業所を決める際は、必ず見学に行きましょう。
実際の雰囲気を見てみることで、本人の状況に合っているかどうかや適切な介護が行われているかが確認できます。

例えば、働いている職員の雰囲気や、入所者の様子など観察してみましょう。
スタッフが穏やかに利用者と接しているか、認知症の特性に合わせて上手く対応できているかという点は重要です。

また、利用者の表情やいきいきと生活してるかという点もチェックすべきポイントといえます。
普段から適切な対応を受けているなら、自然とゆとりのある表情が見られるでしょう。

その中で、介護の体制(何人のスタッフでどのような人がいるか)や費用なども確認します。
かならず、複数の事業所を比較検討することが大切です。

運営推進会議に参加する

更に詳しい状況を知りたい場合は、その事業所の運営推進会議に参加してみましょう。
地域密着型サービスでは、地域の人に施設の状況を公開しサービス改善につなげるため、このような会議を定期的に開催しているのです。

運営推進会議では、施設の利用者とその家族、ケアマネジャー、自治体職員などが参加しています。
その他、民生委員や交流のある学校関係者、医療関係者なども参加していますよ。

ここではサービス内容の他、事故防止策、健康管理、地域との交流、災害対策などについても話し合われます。
利用者や家族からの要望についても検討され、サービスの内容や利用者の状況をリアルに聞く機会となるでしょう。

なお、介護認知症対応型通所介護の場合、運営推進会議はおおむね2ヶ月に1回以上開催されることになっています。

認知症対応型通所介護では認知症に特化した丁寧なケアが受けられる

認知症対応型通所介護は、認知症の人へのケアに特化したデイサービス。
ここでは、特別な配慮が必要な人に対して丁寧なケアが行われます。

通常のデイケアとは異なり、認知症について知識や経験が豊かなスタッフが個別に対応するのが大きな特徴です。
認知症の人でも出来る限り自立し、安心して生活できるよう支援が行われる場所と言えるでしょう。

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