自分や身近な人に介護が必要になる年齢は?急な介護で慌てないために

公開日: 2022年04月15日

更新日: 2022年05月20日

  • くらし全般
  • 介護・高齢者施設

高齢になれば、自分も家族も介護が必要となる可能性があります。 介護が必要となるのは、だいたい何歳からなのでしょうか。 ここでは、介護の開始年齢や期間、介護をする人について解説します。

また、介護離職の問題を解決する方法についても見ていきましょう。 いざという時に慌てないように、介護の不安を解消する方法も紹介します。

介護が始まる年齢は?

高齢のため介護が必要になるのは、だいたい何歳くらいからなのでしょうか。 人それぞれではありますが、75歳頃までは介護が必要ない場合が多いといえます。
しかし80歳を超えると、介護を必要とする割合が増えてくるのです。 平成29年度の厚生労働白書によると、70~74歳までの人で介護を受けているのは、同じ世代の中で男性4.8%、女性で4.7%に過ぎません。
一方、この割合は、75歳以降、急激に増えていきます。 80~84歳になると、男性で17.9%、女性で27.3%の人が介護を受けているとのことです。

介護のサービスを受けることができる年齢は?

高齢になって介護が必要になった時、介護保険を使えば少ない自己負担でサービスを受けられます。 一般的には、介護保険を利用できるのは65歳からです。
ただし、65歳になっていても介護認定を受けなければ、介護サービスは受けられません。 自治体によって要介護または要支援という認定を受けて、初めて利用できるようになります。

また、40~64歳までの人でも、一定の条件を満たせば介護保険を利用してサービスを受けられることがあるのです。 16種類の疾患が指定されており、それによって要介護認定を受ければ介護サービスが利用できます。
この疾患は、末期がん・関節リウマチ・脳血管疾患など加齢が原因となるものです。 その他、高齢者向け住宅や老人ホームなどは、60歳から利用できるところもあります。

介護期間はどれくらい?

一般的に、介護を受ける期間は、どのくらいになるのでしょうか。 公益社団法人生命保険文化センターの調査(令和3年度)によると、介護期間の平均は5年1か月ということです。
ただし、4年から10年未満のケースが31.5%と最も多く、10年以上も17.6%となっています。 これを合計すると、4年から10年以上に及ぶ場合がほぼ半数を占めるということになりますね。
かなり長い期間、介護を受け続けるということがわかります。 平均年齢が伸びている昨今、介護期間も長期化する可能性があるといえるでしょう。

介護を担うのは誰?

それでは、実際に介護をしているのは、どのような人なのでしょうか。 厚生労働省の調査(2019年)によると、主な介護者のうち54.4%が同居の家族ということです。
その内訳は、配偶者が最も多く、次に子供、子供の配偶者と続きます。 また、同居している主な介護者の中では、特に女性の割合が多いのです。
なお、別居の家族が介護をしているのは13.6%、介護サービスの事業者が主な介護者となっているのは12.1%となっています。 多くの場合、同居の家族が主に介護を行っているのですね。

身近な人に介護が必要になったときは?

身近な人に介護が必要になった時、身体介助や家事などで非常に忙しくなるかもしれません。 そのために仕事が続けられなくなる人もいて、介護離職という言葉も聞かれるようになりました。
介護離職をすると、当然ながら収入が大きく減ることになります。 また、再度就職しようと思っても、ある程度の年齢に達した人には難しい場合もあるのです。
できれば、介護のために退職することは避けたいものですね。 可能な限り介護保険のサービスを利用するようにし、かつ介護と仕事を両立させるための制度を利用しましょう。
その制度としては、以下のようなものがあります。

介護休業制度

介護のために、仕事を休業できる制度です。 介護が必要な人、1人当たり3回まで、合わせて93日まで休業できます。 この期間は無給となりますが、会社を辞める必要がありません。

また、雇用保険に入っている人なら、給与の月額のうち67%が介護休業給付金として受給できるのです。 介護が必要になったときは、行政への相談や介護サービスの手配など、平日に手続きをしなくてはなりません。
このような作業をまとめて行うために、介護休業制度を利用しましょう。

介護休暇制度

介護のために、休暇を取れる制度です。 介護が必要な家族が1人の場合は1年に5日まで、2人以上の場合は年10日まで休暇が取れます。 場合によっては、時間単位で休暇がとれることもありますよ。
通院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせなどに使うとよいでしょう。 介護休業も介護休暇も、法律で定められた労働者の権利です。 介護をする必要が出てきた時は、この制度を使って対応しましょう。
ただし、これらの制度には、雇用形態や対象となる家族に制限があるので確認が必要です。

急な介護で慌てないためには?

夫婦や親子や兄弟で介護について話合う

急に介護が始まると、誰がどのように介護をするのかでトラブルになる可能性があります。 事前に家族内で、介護について少しずつ話し合っておくとよいでしょう。
例えば、親に介護が必要となった時、同居の家族だけで対処しようとすると負担が大きくなります。 誰がどのように世話をするのか、また費用負担はどうするのかという点も話し合っておきたいものです。

また、親の資産や年金についても聞いておき、できるだけ本人のお金で費用を賄えるように計画しておくとよいでしょう。

介護に関する知識を身に付ける

急に介護が必要になった時、知識が全くないと大変です。 いざという時のために、基本的な知識を身に着けておきたいものですね。 介護保険の仕組みや、介護サービスの受け方について調べておきましょう。

また、いざという時に相談できる地域包括支援センターや、行政の窓口の場所も把握しておきたいものです。 最近では、介護の実際について書かれた本やサイトなどもたくさんあります。
このようなものに目を通しておくと、介護が始まった後の生活について、イメージを持つことができるでしょう。

介護が必要な年齢に達するまでに準備をしておこう

老化の進み方は人それぞれですが、80歳を超えれば介護のことを考える必要があります。 できれば70~75歳を過ぎた頃には、介護のために準備を始めるとよいでしょう。
急に介護が始まってしまうと、自分の仕事や費用の問題など、慌てることも多いのです。 介護と仕事を両立させる制度や、介護保険のサービスなどについて、知識を持っておくようにしましょう。

また、家族同士で話し合い、いざという時に困らない態勢を作っておきたいものです。

この記事に関連するタグ

くらし全般

身元保証

相続・遺言

介護・高齢者施設

葬儀・供養