入院時に身元保証人がいない独居老人はどうすればいい?身寄りがない高齢者が入院するための対処法を解説!
公開日: 2025年05月16日
更新日: 2025年05月16日
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少子高齢化が進む現代において、「独居老人」といわれる、一人暮らしのご高齢者(65歳以上の方)の数は年々増加しています。まだまだお元気で日常生活は問題なく過ごせたとしても、年を重ねるごとに、突然のけがや病気で入院が必要となるリスクも高まってくるでしょう。
生涯独身の方や、普段から親族や身近な方とのやり取りが乏しい独居老人の方の場合、いざ入院となった時に、身元保証人でお困りになる方も少なくありません。
こちらでは、身寄りがない独居老人の方が入院時の身元保証人で困ることのないよう、あらかじめ準備しておくべき対処法をご紹介いたしますので、ぜひ参考になさってください。
身寄りがない独居老人が入院となった場合の対処法

医師は、診察治療を求められたときに、正当な事由がない限り拒んではならないと医師法で定められています。したがって、身寄りのない方が入院する際に身元保証人がいないという理由で入院を拒むことはできません。
しかしながら、医療の現場では入院患者の生命に関わる治療を、一刻の猶予もなく行わなければならない場面もあります。ご本人のほかに治療方針について共有できる人物がいなければ、緊急の手術や、万が一逝去した際に大きな問題となってしまいます。
また、身元保証人に求められる役割は緊急時の対応だけではありません。特に身寄りがない独居老人の方の場合には、入院時の手続きから、入院中、退院時や逝去時まで、さまざまな場面で身元保証人によるサポートが欠かせないといえます。
病院側にとっても、入院するご本人にとっても、身元保証人は不可欠な存在です。身寄りがなく、身元保証人の確保が難しい独居老人の方へ向けて、対処法を5つご紹介します。
対処法1. 身元保証サービスを利用する
身元保証人と聞くと「個人で対応するもの」と思われがちですが、実は法人として身元保証人を請け負う事業者も存在します。少子高齢化が進む昨今において、独居老人や身寄りがないご高齢者を中心に身元保証サービスのニーズは年々高まっており、身元保証事業者も増えてきています。
身元保証サービスの内容や費用は事業者ごとに異なりますので、身元保証サービスの利用をお考えの方は、各事業者の契約内容をしっかりと確認・比較検討することが重要です。
身元保証事業者が健全に事業運営する指針として、内閣府は2024年6月に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を公表しました。このガイドラインを順守した事業者を選べば、安心の身元保証サービスを受けることができるといえるでしょう。
身元保証事業者をお探しの方は、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインをぜひご活用ください。
対処法2. 成年後見制度を利用する
ご高齢者の老後の生活を支える制度として、「成年後見制度」を耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
成年後見制度は、認知症のご高齢者だけでなく、精神病などさまざまな理由で判断能力が低下した方を保護するための制度で、家庭裁判所より選任された成年後見人がご本人の代理人となり、身上監護や財産管理、法律行為の代行を行います。
病院によっては、身元保証人の確保が困難なご高齢者に限り、特例的に成年後見人が身元保証人になることを認めているケースもあります。しかしながら、成年後見制度の利用にはいくつか注意点があります。
【成年後見制度の注意点】
- 成年後見人は入院時の身元保証人として認められないケースもある
…ご本人が自分自身の身元保証人になれないのと同様に、原則としてご本人の代理人である成年後見人は身元保証人になることができません。 - ご本人がお元気なうちは、成年後見制度を利用できない
…成年後見制度は、認知症発症などによりご本人の判断能力が低下してからでないと開始されません。 - 成年後見制度が開始されると、ご本人の逝去まで利用が続く
…選任された成年後見人が司法書士などの専門家である場合、専門家に支払う報酬がご本人の逝去まで継続して発生します。
対処法3. 身元保証人が不要の病院に入院する
少数ではありますが、やむを得ない事情がある場合に限り、入院時の身元保証人を不要とする病院も存在します。そのような病院は、身元保証人を確保する代わりに、入院保証金の支払いや、クレジットカード決済を入院の条件としていることがほとんどです。
ただ、身寄りがなく身元保証人の確保が困難な独居老人の増加に伴い、身元保証人を不要とする病院の需要は増加しています。身元保証人不要の病院に入院したくても、満床で断られるケースや、病院設備等の問題でご本人の希望通りの病院に入れないケースもあるでしょう。
対処法4. 地域包括支援センターへ相談
地域包括支援センターとは、ご高齢者の生活支援を目的に設置された公的機関です。地域ごとに市区町村や社会福祉法人等が運営しており、ご高齢者のさまざまなお悩みや相談に対応してくれます。
身元保証等高齢者サポート事業に関しても対応していますので、まずはお住まいの地域内にある地域包括支援センターへ相談するのも一つの手です。ご本人のご状況に応じたアドバイスを受けることができるでしょう。
対処法5. 病院の医療ソーシャルワーカーへ相談
医療ソーシャルワーカーは、入院患者が安心して治療を受けられるよう、経済的な問題や心理的な不安など、さまざまな相談に対応してくれます。状況に応じて、病院と患者の間に立って調整や交渉を進めてくれるので、身寄りのない方や独居老人の方の心強い存在となるでしょう。
ただし、医療ソーシャルワーカーが配置されていない病院もありますのでご注意ください。
身寄りがない独居老人の入院時における保証人の種類

入院時には身元保証人ではなく「身元引受人」や「連帯保証人」を求められるケースもあります。それぞれの役目について確認しておきましょう。
身元保証人…家族のように寄り添い入院をサポートする存在
身元保証人は、入院や退院時の手続き、入院生活のサポート、万が一の時の緊急対応、お亡くなりになった際の身元引受け、さらには入院費用の連帯保証など、数多くの役目を担います。身寄りがない独居老人の方にとって、まさに家族のように寄り添い、継続的にサポートする存在といえるでしょう。
身元引受人…逝去時のご遺体の引受人
ご本人がお亡くなりになった際に、ご遺体を引き受けるのが身元引受人の役目です。病院にて死亡確認に立ち合い、死亡診断書を受領し、退院手続きなどを行います。
連帯保証人…入院費用の連帯保証
連帯保証人は、入院中のご本人(主債務者)と同様に、費用の支払いについて責任を負います。もしご本人では入院費用の支払いができないときは、連帯保証人がその費用を負担しなければなりません。
身寄りがない独居老人の入院時に病院が身元保証人に求めることとは

先ほどお伝えしたように、身元引受人や連帯保証人は責任や役割の範囲が限定的ですが、身元保証人には幅広い対応が求められます。
特に身寄りがない独居老人の方が入院する場合は、以下のような場面で身元保証人による対応が必要となります。
入院前の治療説明
医師は、入院患者への治療説明を事前に書面にて行う義務があります。入院するご本人だけでなく、家族も同席の上で治療説明が行われるのが一般的ですが、身寄りのない方については身元保証人が同席し、治療説明を受けます。
入院中に必要となる品や日用品の追加購入
手術前に準備が必要な品や、長引く入院生活で不足した日用品など、入院の前や入院中にも買い出しが必要となります。
お買い物代行サービスを提供している病院もありますが、利用に制約がある場合や、細々した日用品の買い出しには対応してもらえない場合には、身元保証人に購入を依頼することになるでしょう。
入院中の治療方針の説明
入院中に医師から治療方針について説明があるときには、身元保証人にも同席してもらうことが大切です。特にご高齢で、ご自身での判断や理解に不安がある方は、身元保証人が一緒に説明を受けることで、治療へのご自身の理解度を高まり、安心につながると考えられます。
緊急時の連絡および駆け付け対応
入院中に病状が急変した場合は、身元保証人が緊急連絡先として対応します。ご病状によっては、頻繁に呼び出されることや、深夜の駆けつけ対応が求められることもあります。
医療行為の提示
医療行為へ同意することができるのは、原則として本人のみ、ご本人と意思の疎通が困難な場合には、家族がご本人に代わって同意することも可能となっています。
家族のいない独居老人の方の場合は、「医療・介護に関する、いざという時の意思表示宣言」を公正証書にて作成するなど、いざという時のためにあらかじめ準備しておけば、身元保証人が医療に対する意思表示を提示することが可能となります。
入院費用の連帯保証
緊急手術の必要性が生じたり、入院が長期化したりと、さまざまな理由で入院費用がかさんでしまい、ご本人では支払えなくなってしまった時、身元保証人が連帯保証人となりその費用を負担する責任があります。
退院時の手続き
退院時には、入院費用の精算など諸手続きが発生します。身寄りがない独居老人の方の場合には、退院手続きの代行や退院時の付き添いも身元保証人に対応してもらうことになります。
死亡時のご遺体の引き取り
万が一入院中にお亡くなりになった場合には、ご遺体を引き受ける人がいなければなりません。入院時の身元保証人は、身元引受人としての役目も担うことが一般的です。
身寄りがない独居老人が入院前にあらかじめ準備しておくべきこと

身寄りがない独居老人の方が入院すると、身の回りのさまざまな場面で、どうしてもご自身では対応できず、身元保証人に頼ることが多々発生します。いざという時に慌てることのないよう、あらかじめ以下のような準備をすることをおすすめいたします。
身元保証サービスの利用
これまでお伝えしたように、身寄りがない独居老人の方にとって、身元保証人は入院直後から必要不可欠な存在となります。大急ぎで身元保証事業者を選んでしまったがために、満足のいく身元保証サービスを受けられなかった、費用が高くなってしまったなど、後悔することのないよう、お元気なうちに信頼のおける身元保証事業者を見つけることはとても重要です。
見守りサービスの利用
入院時の身元保証はもちろんのこと、定期的な見守りサービスを提供している身元保証事業者もあります。身寄りがない独居老人の方の暮らしにはさまざまなリスクが伴いますので、見守りサービスを利用し、日常的に顔を合わせる人を確保しておくと安心です。
財産管理等委任契約の利用
財産管理等委任契約とは、財産の管理・運用や、療養看護、日常で発生する事務などを、ご自身が選んだ人に委任する契約で、比較的自由度の高い契約内容を設定できます。
寝たきりの状態になってしまったり、判断能力は十分であってもご自身での各種事務手続きに不安が出てきたりと、身寄りがない独居老人の方の将来への不安は尽きません。財産管理等委任契約を結び、信頼のおける人をあらかじめ受任者として選任しておけば、万が一の時にも安心して対応を任せることができます。
任意後見契約の利用
任意後見契約は、将来的に判断能力が低下したときに備えて、財産の管理・運用や、療養看護、日常で発生する事務などを委任する契約です。成年後見制度とは異なり、ご自身の希望する人を受任者として選ぶことができるのが、任意後見契約の大きな特徴です。
任意後見契約は、ご本人の判断能力が十分ある状態でなければ契約を結ぶことができないため、利用を希望される独居老人の方はお早めに契約することをおすすめいたします。
死後事務委任契約の利用
入院中の方がお亡くなりになると、身元引受けや退院手続きはもちろんのこと、葬儀・供養の手配、お部屋の片付け、役所での諸手続き、ライフライン等の解約など、死後事務といわれるさまざまな手続きが発生します。これらに対応する家族・親族のいない独居老人の方は、生前の内に死後事務を第三者に依頼してくことが大切です。
ご自身の希望に沿う死後事務を滞りなく行ってもらうためにも、信頼のおける人を受任者に選定し、死後事務委任契約を結んでおきましょう。
急な入院に備えたい身寄りがない独居老人は身元保証人を頼める団体に依頼するのがおすすめ

身寄りがない独居老人の方の将来への不安を解消し、日々の暮らしを安心してお過ごしいただくためには、お元気なうちに備えておくことがとても大切です。
私ども身元保証相談士協会では、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを順守した健全な運営のもと、入院時の身元保証はもちろん、定期的な見守りサービスや、お亡くなりになった後の死後事務まで、身寄りがない独居老人の方の暮らしを一貫してサポートいたします。
初回のご相談は完全無料にてお受けしております。身寄りがない独居老人の方はもちろんのこと、身近な方に身元保証人を頼みづらい、迷惑をかけたくないとお悩みのご高齢者の方も、ぜひ気軽にお問い合わせください。身元保証の専門家が親身にお応えいたします。
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