覚えておきたい焼香のマナー!正しい順番・宗派ごとの作法・回数とは

公開日: 2022年02月14日

更新日: 2022年05月18日

  • 葬儀・供養

仏教でのお通夜や葬儀に参列した時、必ず行うのが焼香です。 焼香にはどのような意味があるのでしょうか。

ここでは焼香の作法について解説します。 焼香の種類、宗派別の違いについても見ていきましょう。
また、焼香の順番についてや、数珠の使い方など焼香のマナーもご紹介します。 いざという時に備えて、正しい焼香の仕方を身につけておきましょう。

焼香とは

焼香(しょうこう)とは、仏さまの前でお香を焚くことをいいます。 これには、仏さまに対面するために、お香によって心身を清めるという意味があるのです。

焼香の方法には、抹香を使う場合とお線香を使う場合があります。 抹香は細かい粒状のお香で、これを香炉に入れて焚く、あるいはお線香に火をつけて供えるのです。

しかし、普段お焼香という時は、葬儀やお通夜・法事の際に、祭壇に向かって手を合わせ、抹香を焚くことを指します。 これは仏さまに向かって手を合わせると同時に、亡くなった人への思いを込める場面でもありますね。
お葬式などで行われる焼香は、仏教に基づいた儀式の一つです。
しかし、それに加えて、一人一人が故人と向き合い、哀悼の思いをささげる機会とも言えるでしょう。

基本的な焼香のしかた

まずは、お通夜や葬式の際に行う基本的な流れを確認しましょう。
お通夜などの際は読経を行いますが、その途中で焼香が始まります。 一般的には、喪主が最初に焼香をしますが、香炉が座席に運ばれ、座ったまま行うことが多いようです。

そのあと、故人に近い親族から順番に行っていきます。 友人知人など親族以外の参列者が焼香を行うのは、親族全員が終わった後です。 葬儀場の係員から誘導があるので、順番が来たら案内に従って進みましょう。
焼香台は、祭壇の前に設置されています。 まずは、焼香台の手前で左右の親族席に向かい、礼をしましょう。 次に、焼香台の前に進み、祭壇に向かって合掌(または一礼)します。
抹香をつまんで香炉に入れたあと、もう一度合掌(または一礼)しましょう。

最後に、親族に礼をして終わりとなります。 そのあとは基本的に法要が終わるまで参列するのですが、お通夜の場合は焼香だけで済ませることも可能です。

宗派ごとの焼香のしかた

仏教でも、宗派によって微妙に作法が違う部分があります。

抹香をつまんで香炉に入れるのは何回かという点や、つまんだ後の所作に違いがあるのです。

真言宗の場合は、抹香をつまんで入れるのは3回。 つまんだ抹香を額の近くまで押し頂いたあと香炉に入れるという所作を、3回繰り返すのです。

曹洞宗では、香炉に入れるのは2回。 1回目はつまんだ抹香を押し頂く所作をしますが、2回目はそのまま香炉に入れます。

真宗大谷派では、香炉に入れるのは2回。 2回とも額に押し頂くことはしません。 浄土真宗本願寺派では、香炉に入れるのは1回です。 こちらも額に押し頂くことはしません。

浄土宗では特に回数や所作に決まりはありませんが、1~3回。 日蓮宗では3回です。 なお、故人の宗派の仕方に従ってもよいですし、自分の宗派のやり方でも構いません。

焼香の種類

立礼焼香

焼香をする人が、立った状態で行う方法です。 近年では多くの場合、この方法で行われています。 最近よく使われているような葬祭ホールでは、洋室の会場に椅子が並べられていることが多くなっています。
そのため参列者は靴をはいたまま、お通夜や葬儀に参列しますね。 このような形の会場では、焼香台の前で立ったまま焼香を行う形式となるのです。

ただし親族は、この場合も香炉が回ってきて座ったまま焼香をする例が多いでしょう。
なお、家族葬など人数の少ない葬儀の場合は、親族も立礼で行うことがあります。

座礼焼香

焼香をする親族や参列者が、祭壇の前で一人ずつ座って行う方法です。 例えば、自宅やお寺の座敷で法事等を行う場合には、このような方法がとられます。
祭壇の前に香炉が置かれていて、順番に一人ずつ出て行って焼香をする形です。 この場合は、まず香炉の少し手前で一度正座し、そこで遺族に一礼をします。
その後、膝で香炉の前に移動し、正座して焼香をしましょう。
終わったら、あとずさりして香炉の前から下がり、そこで再度正座して遺族に一礼したあと、元の席に戻ります。

回し焼香

参列者が自分で移動せず、香炉を回して行うやり方です。
香炉を手渡しで回すか、香炉を乗せた車付きの台を回す方法もあります。 葬儀や法事を行う際、会場が狭いと一人一人が祭壇の前に移動するのが難しいため、このような方法にするのです。

また、前述したように、葬儀場のホールでも親族だけは香炉を回すのもよく見かけます。 香炉が回ってきたら、前の人に少し頭を下げて受け取りましょう。
座敷の場合は、膝の前に置くのが基本です。 終わったら、祭壇に一礼して次の人に回します。

焼香に関するマナー

焼香をあげる順番

お通夜などの際は、必ず喪主が一番先に焼香をします。
そのあと他の親族が焼香していきますが、血縁の濃い順番に行うのがマナーとなっています。

喪主は、亡くなった方の配偶者や長子が担うことが多いでしょう。 例えば、長子が喪主の場合は、その次に配偶者が焼香をし、配偶者が喪主の場合は、その次が長子の番です。
その後、喪主以外の子供が年齢順に行いますが、結婚で姓が変わった子供を後にする場合もあります。 子供の配偶者は、ここで一緒に行うと良いのです。 孫がいるようなら、子供(つまり孫の親)に続いて焼香をします。

ただし、故人の両親、故人の配偶者の両親が存命なら、孫よりも先にする場合もあります。 両親・孫の後は、故人のおじおば、甥・姪と続く形になるのです。 このような順番になるよう、事前に親族席の席順を決めて座っておくと、スムーズに事が進むでしょう。

なお、親族以外の参列者は、すべての親族が終わった後、前の席の人から順番に行います。

数珠について

焼香をする場面では、できるだけ数珠を持参しましょう。 各宗派によって数珠の形が違うのですが、自分の宗派のもので構いません。

数珠は大事なものなので、そのまま持ち歩くことはせず、必ずふくさ(数珠を包む布)か数珠袋に入れましょう。 椅子やテーブルの上などに、直接置くことは避けます。 読経が始まったら、数珠を手にかけて合掌しましょう。 略式の短い数珠なら、合わせた手の親指にかけますが、108個の玉がついた正式な数珠のかけ方は宗派ごとに違うので、確認が必要です。

移動する時は、房の方を下にして左手に持ちましょう。 長い数珠の場合は、二つ折りにして持つと見栄えが良くなります。
焼香の時は、左手に数珠を持ち、右手で抹香をつまむようにしましょう。

作法やマナーを身につけて気持ちのこもったお焼香をしよう

焼香の手順や数珠の持ち方など、基本的なことはきちんと身に着けておきたいもの。 正しいやり方を十分に確認して、自然に動けるようにしておきましょう。

焼香は、故人を偲びながら手を合わせ冥福を祈る貴重な機会です。 手順が分からず、あたふたしていてはあっという間に終わってしまいます。
この場面ですべきことをしっかり身に着けて、気持ちのこもった焼香を行いたいものですね。

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