深刻化するおひとり様の孤独死の問題
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現在日本国内において、同居する家族がいない独居の高齢者が増え続けています。
2025年7月に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、2024年の全国の世帯総数5482万5千世帯に対し、高齢者世帯は全体の31.4%にあたる1720万7千世帯、さらに「高齢者の単独世帯」に限ると903万1千世帯となっています。2013年の調査と比べると、573万世帯だったところから330万世帯以上増えており、加速的に増加していることがわかるでしょう。

孤独死後、身元引受人がいない問題 オーナー側の“貸し渋り”も
同じ"独居の高齢者"でも、子どもなどの家族がすぐ近くに住んでいる方もいれば、誰とも接点がない完全なひとり暮らしの方もいます。この「誰とも接点がない」「身近に頼れる家族がいない」という方が直面する可能性があるのが孤独死です。
警察庁の統計によると、2024年にひとり暮らしの自宅で死亡した高齢者は5万8千人に上り、そのうち2万1千人以上は死後8日以上経過してから発見されているという現実があります。身体的にも精神的にも様々な変化がある高齢者が、たったひとりで生活すること自体が問題となる部分もありますし、そうした方々の見守りにもまた課題があります。
さらに、この問題を高齢者側ではなくアパートやマンションを貸すオーナー側の視点で考えたときには、また別の問題が発生します。貸している部屋で孤独死が起きた場合、亡くなった方が仮におひとり身でご家族がいないとなると、誰が死亡届を出すのか、葬儀や納骨はどうするのかといったあらゆる問題が次々と生じることになります。身元引受人が一向に現れず、最終的に行政が死亡扱いの認定をするまでに1カ月もかかるということも少なくありません。
高齢かつおひとり身の方に部屋を貸すことでこのようなリスクがあるために、賃貸物件のオーナーによる“貸し渋り“が起きているのです。

2025年10月に解釈変更 家屋管理人も死亡届を提出可能に
この貸し渋りの問題を厚労省も深刻に捉えており、令和2年には死亡届の取り扱いに関する法改正がなされています。これまでは同居の親族などに限られていたところ、死亡届を提出できる対象者が同居の親族以外の親族、成年後見人、補佐人、補助人、任意後見人などに広がりました。
ただ、それでもなお、死後事務委任契約等を生前に結んでいなければ、死亡届が出されるまでに大幅な時間を要することは変わりありません。そこで、昨年10月にさらに解釈変更がなされ、家屋管理人も死亡届が出せるということになりました。
新たな時代の転換点 死後事務委任契約の重要性周囲を
この解釈変更が全国の行政へ通知されたことで、生前の見守りを含む死後事務委任契約の重要性がより高まっていくと同時に、地域の社会福祉協議会が死後事務委任契約をより広く周知させることも不可欠となります。私たち身元保証相談士協会としても、死後事務委任契約の重要性をさらに周知し、お困りごとを少しでも緩和できるよう尽力してまいります。
今がまさに、家族や地域が一丸となって高齢者を支える時代から、高齢者等終身サポート事業者など様々な役割を持つ事業者や団体が間に入って役割りに応じてサポートをする新たな時代への転換点だといえるでしょう。

(筆者プロフィール) 厚生労働省所管(一社)全国高齢者等終身サポート事業者協会 理事 (一社)身元保証相談士協会 代表理事 オーシャングループ代表
黒田 泰(くろだ・ひろし)
大手コンサル会社勤務時代に、身元保証に関する法律スキームを確立。全国にそのノウハウを普及する。2012年1月に行政書士・司法書士とともにオーシャングループを結成し、士業事務所のコンサルや上場企業のアドバイザリーを担当。現在は国内最大級の全国160カ所で高齢者等終身サポート事業を展開する「身元保証相談士協会」の代表理事としても精力的に活動。2025年からは厚生労働省所管の業界初の全国団体となる「全国高齢者等終身サポート事業者協会」の理事としても尽力。





