認知症について知ろう

公開日: 2022年06月02日

更新日: 2022年06月10日

  • 介護・高齢者施設

日本は世界に先駆けて超高齢社会となった国です。
令和元年の日本の平均寿命は、男性の平均寿命は81.41歳、女性87.45歳とぐんぐん伸びており、令和47年には男性84.95歳、女性は90歳を超えると見込まれています。

中でも、令和3年9月に総務省統計局から発表された日本の65歳以上の高齢者人口は、総人口が51万人減少している一方で、3,640万人と前年(3618万人)に比べ22万人増加し、過去最高となっています。
割合でいうと総人口の29.1%と、前年(28.8)と比べ0.3%上昇しています。

団塊の世代が75歳以上となる令和7年には3,677 万人に達すると見込まれており、その後は令和24年に3,935万人でピークを迎え徐々に減少に転じると推計されています。
また、総人口が減少しているにもかかわらず、65歳以上の高齢化率は上昇を続けているため、令和18年には3人に1人となり、令和47年には国民の約2.6人に1人が65歳以上と推計されています。
寿命が延びていることに関しては喜ぶべきことではありますが、高齢者にとって住みよい社会の実現のための対策が急務となり、各国で大きな課題となっています。

また、寿命の延びに比例して認知症になる方も増えています。
厚生労働省統計によると、平成28年に認知症が初めて脳卒中に代わり要介護原因の1位となりました。
現在の認知症の治療としては、進行を少し遅らせる程度の薬しか存在しておらず、特効薬はいまだ開発されていないのが現状です。

令和2年に厚生労働省が発表した「認知症の人の将来推計について」では、令和7年には認知症有病率は20%、つまり5人に1人が発症すると推計しています。もはや決して他人事ではなく、ご自身はもちろんご家族にも起こりうる病であると自覚し、備える必要がある病であることを覚えておきましょう。

これほどまでに多くの方がり患する認知症ですが、幾つか種類があるということをご存知の方は多くはありません。認知症を正しく知って、いざとなったときの心構えをしておきましょう。

以下において認知症それぞれの特徴を簡単にご説明いたします。

アルツハイマー型認知症

脳の海馬が委縮して神経細胞が障害をおこし記憶障害となります。

日本人の認知症患者の60%はアルツハイマー型といわれています。
物忘れが多くなる、同じことを何度も話す、家に帰れなくなる、(買ったことを忘れて同じものを買う、日付や時間がわからなくなる、金銭管理ができなくなる、家事ができなくなる、記憶障害に基づく妄想をするなどが特徴です。

レビー小体型認知症

比較的男性が多く発症すると言われている認知症で、自律神経系にレビー小体という異常な物質が多く現れるのが特徴です。
幻視、幻聴の出現、就寝時に大声を上げる、夢を見て暴れるなどの睡眠時の異常行動、パーキンソン症状、便秘、尿失禁などの症状が現れます。

血管性認知症

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血が原因で発症します。
脳梗塞の症状である歩行障害、手足のしびれ、パーキンソン症状、言語障害、嚥下障害、意欲低下や感情失禁の症状が併発することもあります。

症状が突然出たり、急に悪化したりするのが特徴で、ひとつの事はできるのに他の事は全くできないといった症状があるため別名“まだら認知”ともいわれます。

前頭側頭変性症

4060代の比較的若い世代に発症する「初老期認知症」の代表的疾患で、前頭葉と側頭葉の委縮が徐々に進み、理性的な行動ができなくなります。

ピック病は前頭側頭型認知症の一つです。言葉が出にくくなり、ルールが守れない、他人への配慮ができない、暴力的になる、何かに強くこだわる、情緒不安定になるなどの症状があります。
性格による部分もあるため症状だけでは判断が難しく、認知症の診断が遅れる場合があります。

認知症は一筋縄ではいかない

それぞれの認知症に共通する特徴は、物忘れなどの認知力の低下です。
複数の型を診断される人もいます。徘徊、物忘れ、暴力行為、自傷行為など、認知症によって引き起こされる様々な現象がご自身だけでなく周囲をも巻き込んでいきます。

買い物に出かけて帰ってこられなかった、火にかけたお鍋を忘れてボヤを起こした等、ご家族の認知症発症が有料老人ホームなどの介護施設に入るきっかけとなった方は多くいらっしゃいます。

認知症だからといって有料老人ホームなどの介護施設への入居を断られるという事はありませんが、たとえ認知症が理由だとしても、暴力行為のある入居希望者が有料老人ホームの入居を断られるという話は珍しいことではないようです。
どうしても老人ホームなど介護施設では、暴力を振るう入居希望者の受け入れは慎重にならざるをえません。なぜなら老人ホームは共同生活を行う場であるがゆえ、他の入居者の安全を第一と考えているからです。

このような症状をお持ちの方には、認知症への取り組みに力を入れている認知症介護の専門的な研修を受けたスタッフや介護福祉士などの資格を有したスタッフが多く勤務し介護を行っている施設の入居をご検討されることをおすすめします。
認知症をり患されているご家族の幸せのためにも、入居施設をお探しの際はご家族の住む近所の施設に限らず、視野を広げて検索してみるのも手ではないでしょうか。

誰もが住みよい共生社会をめざして

認知症介護を行うにあたり、認知症患者の問題行動の解明を試みることが大切です。まずその人を知り、問題行動の理由を探ることで、発祥のタイミングを回避し、改善することが可能となります。

認知症の人やその家族が住みよい社会となるために、認知症への社会の理解を深めることが重要と考えます。

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