在宅介護を考えている方へ!使えるサービスの種類・相談方法について

公開日: 2022年01月28日

更新日: 2022年04月08日

  • 介護・高齢者施設

高齢で介護が必要になっても、自宅でずっと生活したいと願う人は多いもの。 在宅介護とは、どのようなものでしょうか。
在宅介護の際は、家族による介護の他に介護サービスを受けることもできます。 どのような介護サービスがあり、どうやってそのサービスを受けるのか、みていきましょう。

また、在宅介護のメリットとデメリット、介護が辛くなった時の対処法についても解説します。

在宅介護とは

心身に不自由のある人が、施設ではなく自分の家で暮らし、介護を受けること。 このような介護の仕方を、在宅介護といいます。 高齢で自立した生活が難しくなってきたとき、老人ホームや病院などの施設に入って介護を受ける人もいますね。

しかし、自分の家で生活しながら、家族や介護サービスの手を借りて暮らすこともできるのです。
同居する家族、あるいは定期的に訪ねてきてくれる家族が、食事や排泄、入浴といった日常の世話をする場合もあります。 また、家族がいなかったり、家族の手だけでは足りない場合は、介護サービスのスタッフに訪問介護を依頼するのもよく見られる形です。
あるいは、デイサービスのように、介護を受ける人が自宅から出かけてサービスを受けるという形もありますね。

在宅介護サービスの種類

自宅で受ける介護サービス

在宅介護をする際は、介護保険を利用し、介護スタッフや医療関係者に訪問してサービスを受けることができます。
例えば、介護スタッフが自宅を訪れて、身体介助(食事・入浴・排泄などの手助け)をする訪問介護が挙げられますね。 訪問介護では自宅の浴槽での入浴を手伝いますが、それが難しくなった場合は、訪問入浴介護というものもあります。
これは、専用のバスタブを持ち込んで行うもので、寝たきりの方でも在宅で安全に入浴ができるのです。

医療的なケアが必要になった時には、看護師が来てくれる訪問看護や、理学療養士による訪問リハビリテーションもあります。 また、居宅療養管理指導といって、介護の上で心配なことがあれば、医師や歯科医師、薬剤師などが訪問し、指導してくれるサービスもあるのです。

このような訪問介護サービスは基本的に日中に行われますが、夜間に対応してくれる訪問介護もありますよ。
この場合、定期的に巡回して排泄介助や見守りをしてくれるものと、急にトラブルが起きた時に来てもらう形の随時対応型訪問介護の二つのサービスがあります。

施設に通う介護サービス

介護が必要な人が、事業所に出かけて受けるサービスです。 出かけるといっても、自力で行くのではなく、基本的に事業所が送り迎えもしてくれます。 よく見られるのは、通所介護(デイサービス)といって、施設で食事や入浴、娯楽などのサービスを日帰りで受けるものです。
身体機能や認知機能の改善や維持を目的とした、通所リハビリテーション(デイケア)などもあり、理学療養士によるリハビリや運動療法などが行われています。 認知症がある方の場合、通常のデイサービスでは受け入れてもらえないことがありますが、その場合は、認知症対応型デイサービスを探すとよいでしょう。

医療的な対処が必要な人、看護師による経過観察が必要な人に対しては、療養通所介護というものもあります。
なお、地域密着型通所介護と呼ばれるものがありますが、これはデイサービスのうち、定員が18人以下で事業所のある市町村に住民票がある人のみを対象としたものです。

宿泊できる介護サービス

在宅介護では、基本的に自宅で生活をしますが、一時的に施設への宿泊をお願いすることもできます。 日ごろ介護を行っている家族の負担を軽くするために、このようなサービスがあるのです。
介護をしている家族が病気になった時や介護に疲れてしまった時、仕事や旅行で外泊が必要になった時などに使われます。

在宅介護を受けている人の宿泊介護は、短期入所生活介護と短期入所療養介護の二種類です。
短期入所生活介護はショートステイともいわれ、食事や排せつ、入浴などの介護を行ってくれます。
短期入所療養介護は、生活上の介護だけでなく医療サービスも受けられるもので、介護老人保健施設や介護療養型医療施設で受け入れてくれるのです。

訪問・通所・宿泊を組み合わせた介護サービス

地域密着型で小規模のデイサービスの中には、訪問介護・通所介護・宿泊介護を組み合わせて利用できるものもあります。 小規模多機能型居宅介護と呼ばれるものです。

高齢者、特に認知症のある方の場合、短期宿泊といっても急に環境が変わると混乱する場合があります。
これを避けるために、普段通っている施設で、顔見知りのスタッフによるサービスを受けられると安心ですね。
このようなことを想定し、訪問・通所・宿泊を同時に行ってくれるのが、小規模多機能型居宅介護の施設です。

また、医療的なケアが必要な人には、看護小規模多機能型居宅介護というものがあり、訪問看護も組み合わせることができます。

生活環境を整えるサービス

介護保険で利用できる在宅介護のサービスには、介護スタッフによる介護だけでなく、自宅での生活を支えるため、環境を整えるものも含まれます。
例えば、福祉用具のレンタルや住宅改修にも介護保険を利用できる場合があるのです。 身体が不自由になった高齢者が自立して自宅で暮らすためには、家の内外での行動を支えるモノが役に立ちます。

外出を可能にするための車いすや歩行杖なども、レンタルできますよ。 また、ポータブルトイレなどはレンタルだけでなく購入にも介護保険を利用できます。
自宅内での動きを援助する手すりの設置や、段差をなくす工事など、高齢者の生活を安全にするためのリフォームにも介護保険を使える可能性があるのです。

介護保険適用外のサービス

これまで紹介した介護サービスは、基本的には介護保険を使って行うものです。 したがって、介護認定を申請し、一定の介護度が認定されないとサービスを受けられません。
しかし、まだ要介護までに至らない「要支援」の人なども受けられるサービスがあります。 介護予防・日常生活支援総合事業と呼ばれるものです。

介護予防・日常生活支援総合事業は各自治体が主体となり、ボランティアやNPOなどが協力して行っています。 例えば、デイサービスで運動機能訓練やレクリエーションに参加できますが、送迎や食事・入浴はありません。

その他、ボランティアを利用した配食サービスや見守りなども行われています。 なお、市町村によって、行っているサービスや費用負担が異なるので、注意が必要です。

また、介護保険外サービスといって、介護保険でまかないきれないサービスを自治体や民間企業が行うものもあります。
例えば、訪問理容や通院の付き添い・配食サービス・家事ヘルパーなども介護保険外でお願いすることが可能です。
一人暮らしの高齢者を見守る、緊急通報システムのサービスなどもありますね。
これらの費用は全額自己負担の場合もありますが、自治体で補助を行っている事業もありますよ。

在宅介護のメリット・デメリット

メリット

在宅介護の場合、住み慣れた家で生活できるということが大きなメリットといえるでしょう。 施設に入ると新しい環境に慣れる必要があり、不安を感じるだけでなく、人によっては認知症が進む場合もあります。

また、施設の入所には家族と離れ離れになる寂しさもあるでしょう。 在宅で介護を受けるのであれば、今までの生活を大きく変えずにすむのです。

デメリット

在宅介護をする家族には、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。 夜間のトイレ介助で、何度も起こされて睡眠不足になる人や、入浴介助で重たい身体を持ち上げるのに苦労する人も。
認知症の人の介護では、徘徊や暴言に悩まされ、精神的に追い詰められる人もいるのです。

介護度が進めば、多くの時間を介護に割かなければならず、家族が仕事を辞めて経済的に困窮するケースもあります。

在宅介護の利用方法

要介護認定を申請する

介護保険を利用してサービスを受けるためには、まず要介護認定を受ける必要があります。 本人の心身の状況を調査し、支援や介護がどの程度必要なのか認定するものです。

市町村の窓口で要介護認定の申請をすれば、聞き取り調査や医師の診断を元に認定が行われます。

ケアマネージャーを決める

認定調査で要介護と認定されたら、担当してくれるケアマネージャーを決めます。
ケアマネージャーとは、要介護の人がサービスを受けるための計画(ケアプラン)を作成し、介護保険の申請やサービス事業者との連絡調整をしてくれる人です。

ケアマネージャーがいるのは、居宅介護支援事業所と呼ばれるところ。 市町村の高齢者支援課などで事業所のリストをもらい、その中から選びましょう。

ケアプランを作成する

ケアマネージャーが決まったら、その人と相談しながらケアプランを作ってもらいます。高齢者本人や家族の状況を話し、どのようなサービスを受けるのか計画を立てるのです。

ここで、訪問介護や福祉用具のレンタルなど、具体的なサービスを決定していきます。

在宅介護がつらくなったら

介護施設を利用する

いくら頑張っても、在宅介護が難しくなってしまう場合があります。 本人の状況が悪化して、在宅では面倒が見きれない場合や、家族の事情で十分な介護が不可能になった場合です。

このような時は、老人ホームなどの介護施設を探すことも必要となるでしょう。

ケアプランを見直す

在宅介護の大変さは、ケアプランの見直しで改善することもあります。 デイサービスや短期宿泊を利用して、できるだけ自宅外で介護をしてもらうと家族の負担は軽くなるでしょう。

本人がデイサービスを嫌がる時などは、ケアマネージャーに相談して他の事業所を探してもらう方法もあります。

悩みを相談する

在宅介護の限界を感じてしまったとき、どうしたらよいか迷ったときは、一人で抱え込まず専門家に相談しましょう。

例えば、市町村の高齢者支援課や地域包括支援センターなどで相談することもできます。 もし、担当のケアマネージャーがいるのであれば、まずはその人に相談してみましょう。

在宅での介護は介護サービスを利用し家族で抱え込まないことが大切

在宅での介護は、環境を大きく変えないで済むなどメリットもあるのですが、家族の負担も大きいものです。
最近では介護保険を使った様々なサービスや自治体の援助を受けられるので、利用しない手はありません。

在宅での介護を続けるには、本人と家族のニーズに合ったサービスを探し、手を借りることが大切です。
困った時には、相談するところもあるので、決して家族だけで抱え込むことのないようにしましょう。

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