自宅の介護で利用可能なサービスとは?気になる疑問を詳しく解説!  

公開日: 2022年04月22日

更新日: 2022年05月20日

  • 介護・高齢者施設

家族に介護が必要となった時、自宅で介護をするとしたら、どんなサービスを利用できるのでしょうか。
まずは、自宅介護で利用できる介護保険のサービスについて見ていきます。 自宅介護のメリットとデメリット、ストレスを解消する方法についても確認しておきましょう。
また、自宅介護の準備のために何をすべきかという点も解説します。

自宅介護と施設介護の違い

自宅介護とは、基本的に家族が介護の多くを担うものです。 あるいは、1人暮らしの人の場合、訪問介護などに頼りつつ、自力で生活することになるでしょう。
一方、施設介護はプロのスタッフに介護を任せるということになります。 他人ではありますが、介護に慣れた職員に対応してもらえる安心感があるかもしれません。
ただし、施設介護では定められたスケジュールや規則に従って生活する必要があり、人間関係のトラブルが生ずる場合もあります。 その点、自宅での介護なら、自由にのびのびと生活できるでしょう。

自宅介護で受けられるサービス

自宅で受けられる介護サービスには、どのようなものがあるのでしょうか。 ここでは、介護保険を使ったサービスを種類別に紹介します。

訪問型サービス

自宅に、介護スタッフが訪問してくれるサービスです。 多くの人が利用しているものとしては、まず訪問介護が挙げられます。
訪問介護には、身体介護と生活援助があり、身体介護は、排せつや食事、入浴などの世話をしてくれるもの。 生活援助とは、掃除や洗濯、食事の支度などの家事をしてくれるものです。

また、寝たきりの人などの場合は、自宅のバスルームではうまく介助ができません。 そのため、訪問入浴介護といって、専用のバスタブを持ち込んで入浴させてくれるサービスもありますよ。
訪問型のサービスには、その他に訪問看護や訪問リハビリがあります。 訪問看護は、看護師が訪問して医療行為を行ってくれるもの、訪問リハビリは理学療法士や言語療法士などが訪問し機能訓練等を行ってくれるものです。 この二つは、いずれも、医師が必要と認めた人が受けられるサービスとなります。

通所型サービス

通所介護は、一般にデイサービスとも呼ばれています。 自宅に住んでいる人が日帰りで通い、施設内で介護を受けるものです。 通常は送り迎えが行われ、施設内で食事やレクリエーションなどが提供されます。
また、専門のスタッフによる、排せつや入浴などの身体介護も受けられます。 介護だけでなくリハビリが必要な人の場合は、通所リハビリテーションの利用もできます。
一般にデイケアと呼ばれているもので、介護だけでなく機能訓練などの医療ケアも受けられるのです。

短期入所型サービス

短期間、施設に宿泊して生活できるサービスでショートステイとも呼ばれるものです。 自宅で介護を受けている人であっても、様々な事情から一時的に介護が受けられないような場合に利用されます。
例えば、家族が入院や冠婚葬祭で家を空ける場合、家族が介護で疲れてしまった場合などに使用できるのです。
老人ホームや療養のできる病院など、ショートステイを受け入れてくれる施設で介護を受けながら宿泊します。

小規模多機能型サービス(通所・通い・宿泊を組み合わせる)

小規模多機能型居宅介護は、訪問介護と施設への通所、宿泊を組み合わせられるサービスです。 定員がおおむね15人程度の小規模の施設で、普段は通所や訪問介護をしてもらいます。
その上で必要な時には、その施設に宿泊(おおむね9名以下)ができるようになっているのです。 いつも通所している施設で、顔見知りのスタッフに面倒をみてもらえるので、安心感があります。

また、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)と呼ばれるものもあり、こちらは医療的なケアもできるものです。 退院直後の人などが、介護・通所・宿泊に加えて訪問看護もしてもらえます。

福祉用具貸与や住宅改修

自宅で介護を受けるに当たって、必要な福祉用具を借りられるサービスもあります。 例えば、車いすや移動用リフトなどの福祉用具のレンタルが、介護保険の対象となっているのです。入浴の補助につかう椅子・手すりなどは、購入にも介護保険が使えます。 これらは、肌に直接触れるものなので、レンタルにはなじまないからです。

また、要介護の人が自宅で安全に生活できるよう住宅を改修する場合にも、介護保険が使える場合があります。
例えば、廊下やトイレの手すり、室内の段差をなくす工事、ドアの取り換えなどをしておけば、転倒の恐れが減り介護もしやすくなるでしょう。

自宅介護のメリット・デメリット

自宅介護のメリット

大きなメリットは、住み慣れた自宅で生活できるので精神的な安定が図れるということです。 施設に入って、急に生活環境が変わるのは、高齢者にとって大きなストレスになる可能性があります。
家族と離れて生活するのは寂しいと、抵抗を感じる人もいるでしょう。 認知症の人の場合、混乱して施設になじめない場合もあり、自宅の方が安心感があるかもしれません。

また、施設での生活は何かと費用がかかるものです。 入居一時金の他、食費・管理費・介護費などを積み重ねると、自宅介護の方が、経済的な負担が小さいということになるでしょう。

自宅介護のデメリット

自宅介護のデメリットとしては、家族の負担が大きいという点が挙げられます。 特に介護度が高くなり、夜間も排せつの介助が必要な場合など、体力的に辛いことも多いのです。
家族は自由に生活できず、場合によっては仕事にもしわ寄せがくる危険があります。 介護で疲れ切ってしまうことや、限界が来て共倒れになることもあるのです。
また、専門家による介護ではないため、プロが行うような適切な対応ができるとはかぎりません。 誤った対応をしてしまい、本人の体調に影響を与えることもあります。

自宅介護のストレスと対処法

介護ストレスとは

介護をすることは、肉体的にも精神的にも負担がかかるものです。 それによって、ストレスを感じるのは当然のことと言えるでしょう。 高齢者の排せつや入浴の介助、食事の世話などには体力も時間もかかるものです。
介護に時間を取られ、休養や娯楽の時間が持てなくなってしまうかもしれません。 親や配偶者の介護にかかりきりになるため、仕事や友達付き合いもできなくなり、孤独を感じる人もいるのです。
このような状況は、大きなストレスとなる可能性があります。

介護ストレスの対処法

介護のストレスをそのままにしておけば、共倒れの危険があります。 辛いと感じたら、自分だけで抱え込まず、相談できるところを探すことが必要です。
例えば、担当の地域包括支援センターケアマネージャーに相談してみましょう。 ケアプランを見直せば、介護をする人の負担を減らせるかもしれません。
大変な時には、苦労している状況を他人に話すことで楽になる場合もあります。 また、疲れた時にはショートステイを利用するなど、工夫してストレス解消を図りましょう。

自宅介護に必要な準備

自宅介護に関する知識を得る

自宅での介護を始める際は、それを支える国や自治体の制度、民間のサービスについても知っておきたいものです。 まずは、介護保険の申請の仕方相談できる自治体の窓口について調べておきましょう。
介護保険の申請をして要介護認定を受ければ、介護サービスを少ない自己負担で利用できるようになります。

また、介護者が現役で働いている人なら、介護休業制度や介護休業給付金についても知っておきたいですね。 安易に仕事を辞めてしまわず、介護休業を上手に使って介護保険の申請など一連の手続きを進めましょう。
更に、各自治体で行っている高齢者支援の施策民間のサービスについても調べておきたいものです。

例えば、認知症の高齢者を見守るためGPSを貸し出すサービスや、介護保険を使わず介護をしている家族への補助金制度がある自治体もあります。
民間の業者では、高齢者向けの弁当配食や、訪問理髪などのサービスがありますよ。

資金準備をする

介護には、どうしてもお金がかかるものなので、資金をきちんと準備しておく必要があります。 例えば、介護保険を使ったとしても費用の1~3割は自己負担で、医療費やおむつ代などにも一定の費用が掛かるでしょう。
生命保険文化センターが行った調査によると、介護にかかった費用の月平均は7.8万円、住宅改修など一時的な費用の合計は平均で69万円となっています(平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」)。
このような費用は、本人の月々の年金だけでは、まかないきれない可能性があるでしょう。 預金も含めて本人の経済状況を確認し、資金計画を立てることが大切です。

バリアフリーな住宅にする

高齢者の身体が不自由になった場合は、自宅の改修をし、バリアフリーにしておくとよいでしょう。
例えば、転倒を防ぎ、できるだけ自力で移動できるように手すりを付け、段差をなくす工事が考えられます。

また、浴室やトイレのドアを引き戸にすると、入浴やトイレの介助が楽になるものです。 要介護者と介護者双方の負担を減らすために、住居の状況を見直してみましょう。
要介護認定を受けていれば、ケアプランに住宅の改修を盛り込める可能性があります。

自宅介護を上手に進めるために利用できるものを確認しておこう

自宅での介護は、メリットも大きいのですが、費用も時間もかかります。 体力も必要で、ストレスがたまる人も多いでしょう。
上手に自宅介護を進めるためには、他人の手を借りることも必要なことです。 早めに、利用できる制度やサービスを確認しておきましょう。
家族だけで抱え込もうとせず、しっかり準備をすることが自宅介護のコツといえます。

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