本当に安い?特別養護老人ホーム

公開日: 2022年05月31日

更新日: 2022年06月07日

  • 介護・高齢者施設

高齢者施設等への入居を検討する際に、民間の有料老人ホームと特別養護老人ホーム(特養)を比較される方も少なくないかと思います。「特養は民間の有料老人ホームと比べて安いから」というように、費用の面を主な理由として挙げる方もいらっしゃることでしょう。

しかしながら、特別養護老人ホームを選択したほうが本当に安いのでしょうか?

ここでは特養への入所を検討する際のポイントを3つ述べるとともに、メリット・デメリットについてもご説明いたします。

特養のポイント(1)入所条件

厚生労働省により在宅生活が困難な中重度の要介護者を支援する機能に重点を置いた施設であると位置付けられている特養では、原則、要介護3以上の方を入所対象としています。

入所における優先順位は介護度や生活環境にもとづいた点数により決定し、高い点数の方から入居の準備に取りかかります。

なお下記の特例が認められれば、要介護12の方の入所も可能です。

〔要介護12の方の入所条件〕

  • 認知症、知的障害、精神障害等により、日常生活に支障が出るような症状や行動、意思疎通が難しい状態が頻繁にみられ、在宅生活が困難である状態
  • 深刻な虐待の疑惑がある等により、心身の安全および安心を確保することが困難である状態
  • 単身世帯、同居家族が病弱もしくは高齢等により家族等からの支援が期待できないうえ、地域の介護サービスや生活支援の供給が十分でないことにより、在宅生活が困難である状態

入所における特養のメリット

  • 要介護3以上の方なら、誰でも申し込みができる
  • 介護のケアが必要となる中重度の方を支援する施設のため、介護の実績等による安心感が得られる

入所における特養のデメリット

  • ご本人の介護度や生活環境によって優先順位が変わるため、いつ入所できるかわからない
  • 要介護3で比較的症状が軽めな場合、他の入居者との状態にかなりの差を感じることがある

特養のポイント(2)費用 

特養には入居一時金などの初期費用はなく、月額費用のみの支払いとなります。月額費用についてはご本人の収入によって段階が設けられていますので、下記を参考になさってください。

  • 第1段階:世帯全員が市区町村民税非課税であり、老齢福祉年金受給者もしくは生活保護者等
  • 第2段階:世帯全員が市区町村民税非課税であり、ご本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下
  • 第3段階(1):世帯全員が市区町村民税非課税であり、ご本人の合計所得金額、課税年金収入額、非課税年金収入額の合計が年間80万円超120万円以下
  • 第3段階(2):世帯全員が市区町村民税非課税であり、ご本人の合計所得金額、課税年金収入額、非課税年金収入額の合計が年間120万円超
  • 第4段階:一般 ※市区町村民税課税世帯

費用における特養のメリット

  • 金額は収入に応じて決定されるため、民間の有料老人ホームより負担が軽い
  • 年金受給額が少なくても入所できる

費用における特養のデメリット

  • 同様の介護のケアであっても収入により費用が異なるため、不公平に感じる
  • 収入によって個室もしくは多床室(24名部屋)しか選択できない方がいるため、希望を出せないケースが多い
  • 個室の場合、安くても15万円程度の月額費用がかかる

※有料老人ホームのなかには、15万円よりいくらか負担の軽い費用で入居できる施設もあります。介護負担や医療費負担の割合等によっては15万円を超過してしまう可能性もありますので、ご検討の際は一度専門家へ相談することをおすすめいたします。

特養のポイント(3)施設の探し方

特養は公的な機関であることから、施設における生活の様子や空室などの詳細を紹介センター等で案内することは認められていません。ではどのように探せば良いのかというと、各市区町村に置かれている「地域包括支援センター」で配布されている一覧の冊子を活用します。

冊子には特養をはじめ、民間の有料老人ホームや介護事業所が掲載されているので、ご家族と一緒に最適な施設を探してみると良いでしょう。

施設の探し方における特養のデメリット

  • 特養によって空室状況や費用が異なるため、1件ずつ問い合わせをする必要がある
  • 生活の様子等は、ご家族で見学・質問していかないと不明な点が多い

費用の面でみれば確かにリーズナブル感のある特養ですが、いつ入所できるかわからないなどのデメリットがあります。
さらに住民や高齢者の多い地域となると空室のある特養を見つけるのは難しく、年単位で入所を待つことになるケースも少なくありません。

特養も民間の有料老人ホームも、探すうえでの価値基準は人によって異なるものではありますが、老人ホームはご自分や大切なご家族が老後を過ごすことになる場所です。
今回ご紹介した特養のメリット・デメリットを考慮したうえで、民間の有料老人ホームと十分に比較検討し、本当に良いのか悪いのか、判断するよう心がけましょう。

民間の有料老人ホームのメリット・デメリットについても詳しく知りたいという方は、専門家に直接相談することをおすすめいたします
専門家であれば希望条件や生活の様子・身体状況にもとづいた最適な有料老人ホームの紹介も可能ですので、まずはお気軽に相談してみると良いでしょう。

作成:民間介護施設紹介センター「みんかい」

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