遺言書について

公開日: 2020年07月30日

更新日: 2022年04月22日

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遺言書とは

遺言書は、故人(被相続人)の遺産を受け継いだ相続人同士が揉めないように、被相続人が自分の希望を文字にした法的な書面です。
被相続人の財産の処分の仕方、遺言書にある指示を誰に実行してほしいか、未成年の子どもの世話を誰にしてほしいかなどを法律に沿って、無効となることのないように注意して作成します。
遺言書があった場合、遺言書で受取人として指定された相続人等(受遺者)と、遺言執行者は遺産分割協議を行う事なく、遺言の指示通りに相続手続きを進めることができます。
そのため、被相続人が亡くなり相続が発生したら、相続人は他の相続手続きを開始する前に被相続人が遺言書をのこしているのかどうかの確認を行います。
遺言がない場合は、民法上の規定通り法定相続が行われます。

遺言書は、被相続人が自分の財産をどのように相続人または相続人以外の者(遺贈)に承継させたいかという希望を書き残した、被相続人の最後の意思表示となるため、相続人同士で遺産分割方法を話し合う「遺産分割協議」よりも優先されます。再分割などの協議は、そのあとで行われます。
ただし、法定相続人の最低限の権利を保証する遺留分という制度もあります。
遺言書の効力を持たせるためには民法上、規定通りに文章を作成する必要があり、方式に反する遺言は無効となります。満15歳以上なら遺言を残すことが可能です。

また、成年被後見人に関しては、医師2名以上が立ち会い、正常な判断力を有すると判断された場合に限り遺言をすることが出来ます。

3種類の遺言(普通方式)

自筆証書遺言

遺言者が自筆にて作成します。紙とペンと印鑑だけで作成が可能で、費用も掛からず手軽ですが、書き間違えや遺言内容が曖昧になることが多く、遺言の方式を守らないと無効となります。

また、開封の際には家庭裁判所において検認の手続きが必要です。 ※2020年7月より自筆証書遺言書の保管を法務局で行う事が可能となり、法務局で保管していた自筆遺言証書に関しては家庭裁判所での検認手続きは不要。

また、財産目録は本人以外の者がパソコンで作成、通帳のコピー等を添付することが可能。

公正証書遺言

公証役場にいる公証人が、法律の規定どおりに公正証書として書類を作成するので、確実に有効な遺言書を残したいときや相続財産の金額が大きい際に利用されることの多い遺言書です。
原本は公証役場に保管されるため偽造や紛失の心配がないのでお勧めの遺言書ですが、費用がかかります。

また、公正証書遺言は公証人が作成しますので、作成時点で公文書とされますので検認の必要はありません。
そのため、相続人によりスムーズかつ簡易的に相続手続きを進めたい場合は公正証書遺言で作成するのが良いでしょう。

秘密証書遺言

公正証書遺言と同じく公証役場で作成手続きをしますが、遺言者自身で遺言書を作成し、公証人がその遺言書の存在を証明する方法です。
本人以外が遺言の内容を知ることなく作成できるので、亡くなるまでは絶対に秘密を守りたい、誰にも内容を知られたくない、という場合に利用されています。
現在あまり用いられていない方式です。 確実に遺言書を残したい場合は②の公正証書遺言を作成することをお勧めします。

また、法的効力はありませんが、ご相談者様の遺言書作成に至ったお気持ちや、子どもたちへの思いなどを書くこともできる、「付言事項」を記載することも可能です。

公正証書遺言以外は家庭裁判所にて検認を行い開封

自宅で遺言書が見つかった場合、その場で開封しがちですが、公正証書遺言以外の遺言書は家庭裁判所での検認をせずに勝手に開封してはいけません。
家庭裁判所に行って検認手続きを行なわなければ過料(ペナルティ)に課される可能性があり、また家庭裁判所の検認がなければ、法的に有効な遺言書とはなりません。
各種相続手続きを進めるためにも、かならず遺言書の検認をする必要があります。遺言書の検認は、私文書を公文書にする手続きです。遺言書が家庭裁判所で検認されると、法的に有効な公文書となります。

遺言書の偽造・改ざんは相続人としての権利喪失

勝手に遺言書を開封し、偽造、改ざんすると相続欠格として相続権を失うことになります。
この点、公正証書遺言であれば、作成後に遺言書原本を公証役場で保管してもらうため、改ざんのリスクを回避できます。また紛失したり燃えてしまったりしても、公証役場で何度でも再発行が可能です。

死後事務委任と遺言執行の違い

死後に発生する複雑で面倒な事務手続きを生前のうちに誰かへ委任しておくことができる制度のことを「死後事務委任契約」と言います。
死後事務委任の受任者と、遺言執行者は、それぞれ亡くなった方のために手続きを進める点では同じです。
しかし、死後事務委任と遺言では大きな違いがあり、遺言では、あくまでも財産承継についての記載しかすることができません。

また、遺言の内容を実現する遺言執行者は、遺言で定められた承継についてしか手続きを行うことができません。
対して、死後事務委任は遺言とは異なり契約となりますので、財産の承継以外については自由に取り決めることができます。
死後事務委任だけだと財産承継の部分については対応できず、遺言書だけのこしても死後事務については任せることができませんので、自分の死後について安心したいようでしたら、遺言+死後事務委任契約をおこなうことをお勧めします。
身寄りがなく誰も頼る人がいない場合、遺言と死後事務委任について専門家(司法書士や行政書士など)へ依頼をすれば安心です。

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