身元保証に関する法律

公開日: 2020年07月31日

更新日: 2022年04月22日

  • 身元保証

ここでは、身元保証に関する法律についてお伝えをさせていただきます。身元保証は、施設入居の際や入院手続きの際に必要となります。
大変責任の想い重要な役割ではありますが、実は身元保証に関する法律は全部で6条しかないのです。
そして、法律が施行されたのも昭和8年10月1日ととても古く、現代の身元保証実務をきちんと網羅できているものとは言えません。
しかしながら身元保証業務に関する唯一の法律ですので、身元保証業務を行う際には正しく理解しておくことが重要です。

また、この法律は会社・企業が従業員を雇用する際の身元保証人を想定したものでもあります。
この場合には、従業員の身元が確かであることを保証してくれる人のことです。
もっとも身元の確認というだけでなく、実際にはその身元を保証した従業員によって損害が生じた場合に、その損害賠償責任も負担することを求められるのが通常です。

しかしいかに身元保証人といえども、従業員から生じたあらゆる債務を保証するというのでは、責任を負うべき範囲が拡大しすぎてしまいます。
それでは,あまりに身元保証人にとって酷です。そこで身元保証人を保護するために、身元保証の責任の範囲を限定しようというのが、この「身元保証ニ関スル法律(身元保証法)」の趣旨なのです。
分かりやすく口語訳も記載をさせていただきますので、1つずつ確認していきましょう。

身元保証に関する法律

●第一条
引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ三年間其ノ効力ヲ有ス但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ五年トス

引受、保証その他いかなる名称であっても、期間を定めずに被用者の行為によって使用者の受ける損害を賠償することを約する身元保証契約は、その成立の日より3年間その効力を有する。但し、商工業見習者の身元保証契約については、これを5年間とする。

●第二条
身元保証契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ五年ニ短縮ス

二 身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ

身元保証契約の期間は、5年を超えることはできない。万一、これより長い期間を定めたときは、5年に短縮する。 2.身元保証契約は、更新することができる。但し、その期間は更新のときより5年を超えることはできない。

●第三条
使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遅滞ナク身元保証人ニ通知スベシ 一 被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ 二 被用者ノ任務又ハ任地ヲ変更シ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ加重シ又ハ其ノ監督ヲ困難ナラシムルトキ

使用者は、次の場合においては、遅滞なく身元保証人に通知しなければならない。 1.被用者に業務上不適任または不誠実な事があり、このために身元保証人の責任の問題を引き起こすおそれがあることを知ったとき。 2.被用者の任務または任地を変更し、このために身元保証人の責任を加重し、またはその監督を困難にするとき。

●第四条
身元保証人前条ノ通知ヲ受ケタルトキハ将来ニ向テ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得身元保証人自ラ前条第一号及第二号ノ事実アリタルコトヲ知リタルトキ亦同ジ

身元保証人は、前条の通知を受けたときは、将来に向けて契約の解除をすることができる。身元保証人自らが、前条第一号及び第二条の事実があることを知ったときも同様とする。

●第五条
裁判所ハ身元保証人ノ損害賠償ノ責任及其ノ金額ヲ定ムルニ付被用者ノ監督ニ関スル使用者ノ過失ノ有無、身元保証人ガ身元保証ヲ為スニ至リタル事由及之ヲ為スニ当リ用ヰタル注意ノ程度、被用者ノ任務又ハ身上ノ変化其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌ス

裁判所は、身元保証人の損害賠償の責任及びその金額を定めるとき、被用者の監督に関する使用者の過失の有無、身元保証人が身元保証をするに至った事由及び注意の程度、被用者の任務または身上の変化その他一切の事情を照らし合わせて斟酌する。

●第六条
本法ノ規定ニ反スル特約ニシテ身元保証人ニ不利益ナルモノハ総テ之ヲ無効トス

本法の規定に反する特約で身元保証人に不利益なものは、すべてこれを無効とする。     上記の第1条から第6条までが身元保証に関する法律の内容となります。
身元保証に関する法律に契約の有効期間は5年間となっておりますので、5年ごとに更新をすることが必要となります。
その際には更新料を設定することや、契約の見直しをきちんと行い、身元保証業務を続けましょう。

また、2020年4月からは身元保証人の賠償額の上限を定めなければならなくなりました。
今までは賠償額について定めのない身元保証書が一般的でしたが、今後、賠償額の上限の定めがない身元保証書については無効となる可能性があるので注意が必要です。

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