散骨のメリットとは?散骨の種類・散骨時の流れも徹底解説!
公開日: 2021年03月11日
更新日: 2022年05月18日
- 葬儀・供養
最近になって、散骨は葬送の新しい形として注目されるようになってきました。 海や山、時には宇宙など「自然に還る」ことができ、お墓もいらないのがメリットです。
散骨とはどのように行われ、どのくらい費用がかかるものなのでしょうか。 普通に遺骨をお墓に収める場合とは異なる部分が色々とあるので、確認していきましょう。
散骨とは?
散骨とは、遺骨を砕いて粉状にし、海や山に撒くという埋葬の一方法です。 樹木葬や宇宙葬も散骨の一種とされます。
これまで火葬後のお骨は骨壺に入れて、お墓に収めることがほとんどでした。 しかし、最近はお墓への埋葬ではなく、散骨を選ぶ人も増えてきたのです。
散骨は昔からある自然葬の一つの形式といえますが、最近特に増えたことで、葬送の一つの形として定着しつつあります。
理由として、海や山が好きな人や、遺骨は「自然に還る」のが望ましいという考え方の人が散骨を選ぶようになってきたことが挙げられます。
また、お墓のことで遺族に面倒をかけたくないと考え、死後は散骨にしてほしいと望む人も多いようです。
確かに、一度散骨してしまえばお墓を守る必要はなくなります。 ただし、海や山に勝手にお骨を撒いてもよいというものではありません。遺骨の扱いには法律上の決まりやマナーがあります。 そのため、どのような方法をとればトラブルなく行えるのか確認しておく必要があるでしょう。
散骨の種類
海洋散骨
海洋散骨とは、海へお骨を撒く方法です。 船をチャーターし、海岸から少し離れた場所まで行って散骨します。 様々な業者がこのような散骨を手掛けています。
全部の遺骨を撒くことが多いのですが、一部分だけ撒く方法や、手元に少しだけ残しておく方法もあります。
海が好きな人が「亡くなったら海に散骨してほしい」と望むケースや、海を見て故人を偲びたいと考える遺族が望むケースなどがあります。
広々とした海に包まれて「自然に還っていく」というイメージが心に残る散骨の方法です。
国内の海で散骨する場合がほとんどですが、場合によっては海外で行うことも可能です。
株式会社SPICE SERVE クルーズ事業部 シーセレモニー課 課長
島田快 さんのコメント
実際に海洋散骨を希望されるお客様の中にはお墓をお持ちの方も多く、故人様の意志通りに海へ還してあげたいといった方が大勢いらっしゃいます。
山岳散骨
故人が登山をした思い出の山、自宅から眺められる山などに散骨する方法です。 あるいは、業者が専用の山を持っており、そこに散骨する場合もあります。
山好きの人なら、お墓よりも山に眠りたいと思うかもしれません。
遺族も、あの山に眠っているんだ、と遠くから眺められるのが山岳散骨のよいところです。
ただし、どの山でも散骨できるわけではありません。 自分の土地以外の私有地には散骨できないなどの決まりを守って行う必要があります。
自分で散骨する場合もありますが、険しい山なら業者に散骨をお願いすることもできます。
または、業者と一緒に登山してもらって散骨する方法もありますよ。
その他の散骨
樹木葬も散骨の一つの方法として行われることがあります。
一般的には墓地の一角に樹木葬用のエリアがあり、そこに散骨します。 木が育ち、花が咲くのを眺めながら故人を偲べることや、樹木に生まれ変わるイメージが持てる点が樹木葬の良いところです。
なお、樹木葬といっても、一般的な散骨のように粉状にせず、お骨を地面にそのまま埋める方法もあります。
また、樹木葬の中には、骨壺などを用意して埋めるパターンもあります。
この形のものは散骨とは言えないので、十分な確認が必要です。 宇宙葬も散骨の一つの形です。
まだ数は少ないのですが、遺骨の入ったカプセルをロケットに乗せて打ち上げ宇宙空間に放出する、あるいは人工衛星に同乗させて地球を回る軌道に乗せる、といったことが行われています。
宇宙空間に放出された場合、一定の期間は地球の周りをまわり、ある程度の時間がたつと大気圏に突入し流れ星となります。
宇宙が好きな人には大きなロマンを感じられる形と言えるでしょう。
ただし、宇宙葬の場合は今のところ遺骨のすべてを打ち上げることはできません。
一部分だけを業者に預け、残りは他の方法で埋葬する必要があります。
なお、宇宙葬の場合、国内で受け付けてくれる業者がありますが、打ち上げは海外で行うことになります。
散骨の流れ・費用・注意点
業者に依頼する場合
①業者に依頼する場合の段取り
散骨を請け負う業者に依頼すると、散骨場所やその方法をよく知った上で準備を整えてくれるので安心です。
いくつかの業者にあたって、まずは見積もりを取ってみましょう。
契約するとお骨を預かってくれ、機械で丁寧にお骨を粉状に加工してくれます。散骨しやすいよう、水に溶ける小さな袋に分けてくれるところが多いようです。
海洋散骨の場合、当日は港など、指定の場所で集合となります。天候などによっては、延期になる場合があるので注意が必要です。港から数十分程度で散骨場所に到着、お骨を撒き、献花や献酒が行われます。
また、ヘリコプターを使い海の上に出て、そこから散骨するプランもあるそうです。
一方、山岳散骨の場合は、指定の場所に集合して散骨場所まで業者に連れて行ってもらいます。現地に着いたら、決められた場所に散骨、献花、黙とうなどが行われます。
②業者に頼む場合の費用相場
海洋散骨の費用相場としては、他の家族と一緒に行う合同散骨で10万円から、船を一つの家族で貸し切りにする場合は20万円からです。
業者が同行する山岳散骨の費用相場は20万円からですが、現地に行かず業者に任せる形であれば、3万円くらいから行えます。
海洋散骨も業者に代行を依頼する場合は3万円からです。
③業者に頼む場合の注意点
業者に支払う費用の内訳には、お骨の処理費用・花代・船のチャーター代などが含まれます。
パック料金の中に、どこまで含まれているのかよく確認しましょう。
また、どこに散骨したのか分からなくなると、後になって寂しくなったり、親類などに説明しにくくなったりする場合があります。
業者によっては、散骨した位置を明示した証明書を出してくれるので聞いておきましょう。
株式会社SPICE SERVE クルーズ事業部 シーセレモニー課 課長
島田快 さんのコメント
散骨を扱う業者の選び方として、散骨したお骨が戻ってこないことを考えても、一番はやはり信頼できる業者か見極めることが大切です。
そこで、実際乗船された方の口コミやレビューをまず確認して頂きたいです。
そのほかには、船を所有しているか否か、お客様の乗船に関して保険がかかっているのかどうかもポイントです。保険のかかっていない船(旅客船以外)で散骨を行う業者はそもそもお客様の安全に配慮ができていない為、避けたほうがよいでしょう。
自分で行う場合
①自分で散骨をする場合の段取り
業者任せにせず自分で散骨すれば、費用は掛かりません。 しかし、まずどこに散骨できるか場所を探す必要があります。
この場所探しが大変なので、適切な場所が見つかってから他の段取りを考えましょう。
また、親族に相談して理解を得ておくことも大切です。 散骨する場所が見つかったら、お骨を細かくする作業を行います。
一見してお骨だとわからないくらいの大きさ(数ミリが目安)にする必要があります。
自分でやるならハンマーなどでたたいて細かくすることになりますが、これはかなり大変な作業です。
また、お骨を自分の手で砕いていくことに、抵抗を感じるかもしれません。 自分で散骨するとしても、この「粉骨」の作業だけは業者にお願いする人もいます。 ちなみに、粉骨の費用相場は1万円から3万円くらいです。
②自分で散骨する場合の注意点
他人の私有地には絶対に散骨できないので注意しましょう。 また、自分の土地であっても、自治体によっては条例で散骨を禁止している場合があります。 自宅の庭など住宅地の場合、近隣の人に知られると嫌がられる可能性があるので避けるべきです。
山林などを持っている場合も、水源地の近くは避けるようにという国の指針があります。 川や池、漁業がおこなわれている場所、観光地なども禁止となっています。
これは、衛生上の問題や、イメージダウンを避けるためです。 海に自分で船を出せるという人は、十分に海岸から離れた所、漁業が行われていないポイントを探しましょう。
山での散骨も、人通りの少ない場所、水源の上にならない場所を慎重に探す必要があります。
なお、自分で散骨する場合は、周囲に不快な思いをさせないように注意が必要です。 一見遺骨と分からないようにして持ち歩き、喪服を着て行ったりしないようにしましょう。
散骨のメリット・デメリット
散骨のメリット
散骨の一番のメリットは、お墓がいらないということ。 お墓を購入すると、まとまったお金と手間がかかります。
毎年、墓地の使用料を支払わなくてはならず、草取りや掃除などの手間もかかります。 遺族が遠方に住んでいると、世話をしてもらえず、お墓が荒れ果ててしまったり。
お墓を継ぐ人がいないと無縁墓になってしまうこともあります。 このようなことを避けるために、散骨を選ぶ人もいるのです。
また、散骨というのは自分の好きな場所で眠れる、というイメージがあります。
海や山などの自然が好きな人、自分の思い出とかかわる場所で眠りたいという人にとって、お墓よりも散骨を選ぶというのは、自然なことと言えるでしょう。
年々増え続けるお墓に疑問を持ち、死んだら「自然に帰る」ことを望む人もいます。
そういう人にとっては、海や山と一体化する散骨は理想的な形といえるでしょう。
株式会社SPICE SERVE クルーズ事業部 シーセレモニー課 課長
島田快 さんのコメント
実際に散骨されたお客様のご感想として、散骨をしてより明るく前向きになれたという方や、きちんとお見送りができホッとしたというご意見を多く頂いております。
想像していたより明るく、ポジティブなお見送りになったと感謝していただいております。
散骨のデメリット
様々なメリットがある散骨ですが、そこにはデメリットもあります。
それは、はっきりした墓所が残らないため、寂しさを感じる人もいるということです。
お彼岸や命日などにお墓参りをし、それによって故人と再会したような気持ちになるという人もいます。
お骨という形のあるものが「そこにある」ということが、心の支えになることもあるのです。
場合によっては、本人や家族が散骨を希望していても、親類を説得しなくてはいけない、ということがあります。
また、一度散骨してしまうと、元に戻してお墓を作り直す、というわけにはいきません。
自分が亡くなったら散骨してもらいたい、という場合は遺言を書いておくのも一つの方法です。
すべて散骨してしまったら寂しくなりそうだ、という場合、一部を手元供養として保管することもよく行われています。
散骨に関する法律について
散骨自体は法律で禁じられているものではありません。
一般に墓地ではない場所への埋葬は禁じられていますが、「死者を弔う祭祀のひとつ」として「節度を持って行われる」限り、問題はないという法務省の見解があります。
しかし散骨の方法によっては、この「節度」を超えており法に触れると判断されることもあります。
例えば、遺骨を細かくせずに散骨することはできません。
遺骨とわかる状態で墓地以外の場所に埋めると、死体遺棄罪に問われる場合があるのです。
散骨の際は、粉状になるように加工してから行うことが必要です。
また、散骨が広く行われるようになり、迷惑行為と言われるケースも起こってきたため、自治体で散骨の場所を制限する条例を設けたところもあります。この条例に反する場所でないかどうか、きちんと確認しましょう。
場所としては、海洋散骨なら海岸ではなく沖に出て行う、漁場や観光地・住宅地・水源を避けるといったマナーを守ることも必要です。 これを守らないと迷惑行為として訴えられる危険もあるので、注意しましょう。
散骨以外にも!「お墓を持たない」という選択肢
核家族化や少子化の影響で、お墓を維持するのが難しくなった家庭も増えてきました。 散骨を望む人が増えたのはその影響もあるのです。
しかし、「自分のお墓を持たない」方法は、散骨以外にもあります。
例えば、永代供養墓という選択です。 永代供養墓とは、一つの大きなお墓に多くの人を埋葬するスタイルです。
この場合、骨壺に入れたお骨をそのまま納骨してもらう形と、すべてのお骨をまとめて収める合祀墓という形があります。
納骨した時点で、お寺や墓地管理者に一定の料金を支払っておくとずっと供養してもらえるので、親族がいなくなったとしても安心なのです。
散骨にこだわらない人や、お参りするお墓が無いことに抵抗がある人などは、このような方法もあると知っておきたいものです。
散骨を検討するなら、その方法や問題点をよく調べてから
亡くなったら「自然に還る」という散骨の考え方は、葬送の一つの形として受け入れられつつあります。
海や山を見て故人を偲ぶというのはロマンチックですし、お墓のように維持管理を気にする必要がありません。
しかし、散骨という形に、寂しさや抵抗を感じる人もいるのは確かです。
まずは散骨がどのように行われるのか具体的に確認しましょう。
そして、本人や家族だけでなく他の親族の意向なども確かめておくことがトラブルを防ぐために必要と言えるでしょう。
株式会社SPICE SERVE クルーズ事業部 シーセレモニー課 課長
島田快 さんのコメント
生前から散骨を望んでいる方に注意していただきたいのは、散骨を遺言書に遺しても法的な執行力がないということです。
ですので、生前から身の回りの方に海洋散骨で見送って欲しいことを理解をして貰うことや、場合によっては行政書士の方に相談するなどして、生前の希望を遺しておく必要があるでしょう。
散骨に興味が湧いたけれど亡くなった後に頼れる家族がいない方
近年、お墓よりも散骨を選択する方は増えてきました。 全国93拠点の会員が
というのも、上記でお伝えしたようにお墓に関する費用や定期的な管理が不要になるといったメリットが多くあるからです。
通常、亡くなった後の葬儀や供養の手続きは故人の子供又は配偶者が行うのが一般的ですが、最近ではお子様がいないご家庭や、ご家族やご親族の方が遠方に住んでいたり、関係性が希薄になっている方が増えています。
そのような方でも、散骨など自身の望む葬送をして欲しいという方もいらっしゃると思います。
その場合は身元保証をしてくれる会社や団体を頼りましょう。
様々な身元保証の会社や団体がありますが、例えば、「身元保証相談士協会」は自身が希望する葬儀や供養を叶えてくれたり、亡くなった後の一連の手続きを執りおこなってくれるなど、いわば「家族代行」をしてくれます。 必要があれば、生前に必要な高齢者用施設の入居の手続きと必要品の購入代行・入院の手続きと必要品の購入代行から緊急時の駆け付けもしてくれます。
少しでも老後の生活サポートや亡くなった後の供養や手続きにご不安があれば、無料で専門家に問い合わせができますので、活用してみてもいいでしょう。
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