遺言執行

公開日: 2020年07月30日

更新日: 2022年04月06日

  • 相続・遺言

遺言執行についてご説明いたします。遺言書が存在する相続の場合、基本的には法律に則った相続よりも遺言書が優先されます。

遺言書を発見したら

まず、遺言の執行についてご説明する前に、遺言書を発見した際の対応についてご説明いたします。 残された遺言書の種類により、開封方法が異なります。公正証書遺言の場合は、検認の手続は不要ですが、自筆証書遺言は検認が必要です。 被相続人が手書きで残した遺言書を自筆証書遺言と言いますが、家庭裁判所にて検認の手続きを行ったうえで開封されます。遺言書を勝手に開封すると、民法においては5万円以下の過料に処されますので、自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所にて遺言書の検認を行いましょう。検認を行うことで、相続人が遺言書の存在と内容を確認し、家庭裁判所においてその遺言書の形状や訂正等、検認の日における内容を明確にします。 なお、2020年7月より自筆証書遺言書の保管を法務局で行う事が可能となり、法務局で保管していた自筆遺言証書につきましては家庭裁判所での検認手続きは不要となります。

遺言執行者について

遺言執行者についてご説明いたします。 遺言書がある方は、遺言執行者についての記載があるか内容を確認してみてください。遺言書に遺言執行者が指定されていた場合は、その遺言執行者が、皆様に代わって、各金融機関での預金解約手続き、法務局での不動産名義変更手続きなどをすることになります。 遺言執行者とは、遺言書の内容通りに手続きをしていく人のことをいい、遺言書によってのみ、遺言で遺言執行者を指定しておくことができます。遺言執行者は必ずしも指定しておくものではありません。遺言執行者が第三者に指定されている場合には、遺言に従い、相続人ではなくその第三者が遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権限を持ちます。特に遺言において遺言執行者の指定がない場合でも、相続人や利害関係者が家庭裁判所へ遺言執行人の選任請求をすることは可能です。しかし、登記の申請や引渡しの手続き、不動産を遺贈するなど、遺言執行者がいなければ実現に手間がかかる事が多くありますので、指定しておいた方がスムーズに手続きを進めることができます。遺言ではそうした遺言執行者を指定したり、第三者に指定を委託したりすることが可能です。 なお、誰でも遺言執行者となることはできますが、遺言内容の実行にあたっては複雑かつ多くの手続きがあり、遺言執行者にとっては負担となることもあります。遺言執行者は辞退することも認められていますが、最初から弁護士や司法書士、行政書士などといった専門家に依頼しておいた方が安心でしょう。遺言執行者は、法的な知識を持って判断する機会が求められる場面が多く、最初から相続手続きに強い法律の専門家に依頼する方が遺言の実行もスムーズになり、安心した遺産相続が可能となります。また、遺言執行者を専門家に依頼しておくことでご遺族の負担軽減にもつながります。 家庭裁判所で遺言書の検認が完了したら、遺言執行者は遺言の内容に沿って相続手続きを進めていきます。遺言執行者は、調査・執行内容を相続人に報告していく義務がありますが、執行が済むまではすべての財産の持ち出しを差し止める権限を持っています。 また、相続人は、遺言執行の職務を終了したとき、それに応じた報酬を遺言執行者に支払います。その報酬額は遺言でも指定できますが、家庭裁判所で定めることもできます。

遺言の実行手続きについて

遺言の検認を終えたら、遺言内容を実現させる手続きを進めていきましょう。 遺言書を実現するには、様々な手続きを進めなければなりません。戸籍等を集めて家庭裁判所に提出し、遺言書の検認手続きをします。遺言書の検認後は、検認済証明書付きの遺言書を元に手続きをはじめます。相続人が揃わなくても検認手続きは行われますが、検認を行わないと、原則遺言書に沿って不動産の名義変更等の手続きを行うことはできませんので注意しましょう。 遺言の実行手続きの流れについて説明いたします。

遺言者の財産目録を作成します。

財産を証明する登記簿、権利書などをそろえて財産目録を作り、相続人に提示します。

遺産の分配をします。

相続人の相続割合、遺産の分配を実行する遺言に沿った相続割合 の指定をして、実際に遺産を分配します。また、登記申請や金銭の取立てをします。

相続財産の不法占有者に対して明け渡しや、移転の請求をします。

遺贈受遺者に遺産を引き渡す相続人以外に財産を遺贈したいという希望が遺言書にある場合は、 その配分・指定にしたがって遺産を引き渡します。この際、所有権移転の登記申請も行います。

戸籍の届出

認知の届出をする認知の遺言があるときは、戸籍の届出をします。

相続人廃除、廃除の取り消しを家庭裁判所に申し立てます。

以上のように、遺言執行には様々な手続きが必要ですので、専門家に遺言執行者を依頼し、進めていくことをおすすめいたします。

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