介護における看取りとは?看取り介護のケアや場所について解説!

公開日: 2023年05月18日

更新日: 2023年03月09日

  • 介護・高齢者施設

看取りとは

人が死期を迎えた時、家族や介護者が世話をしながら見守ることを看取りといいます。
特に積極的な延命処置などはせずに、自然に亡くなっていく経過を見守るのです。

従来は病気やケガで療養している人の世話を看取りと呼びましたが、最近では特に終末期の見守りを指すことが多くなっています。
高齢化の進む近年、看取りの必要な人・家族を看取る経験をする人も増えることでしょう。

看取りの時期には介護が必要となることが多く、身の回りの世話や介助をし、身体的・精神的な苦痛を和らげながら最期の時を待ちます。
このような看取り介護は、介護する側にとって大変な作業となるでしょう。

臨終は住み慣れた自宅で迎えたいという人も多いのですが、介護施設や病院で看取りを受けることがほとんどです。

看取り介護と他のケアの違い

ターミナルケア(終末期医療)

看取り介護と似たものに、ターミナルケアと呼ばれるものがあります。
看取りとの大きな違いは、医療行為を行うという点です。

病気などで最期の時が迫っている人に対し、身体的な辛さや死を迎えるまでの精神的な苦悩を和らげるという点は看取りと共通しています。
基本的に延命処置などは行わず、本人のQOL(生活の質)を維持し、平穏な時を過ごせるように看護や介護、医療措置を行うのです。

ターミナルケアでは、そのために投薬を行うこともあります。
痛みのコントロールや栄養補給のための点滴なども、必要に応じて検討されるのです。

一方、介護者による看取りの場合、医療行為はできないので日常生活のケアを通して心身の苦痛を和らげます。

緩和ケア

身体の痛みや苦しさ、精神的な辛さを和らげるために行われるケアが緩和ケアです。
病院でがん患者などを対象に行われるもので、終末期でなくても緩和ケアの対象になります。

例えば、病気に伴う痛みの緩和や、治療による副作用を和らげるために投薬をすることもその一つです。
また、予後の不安を抱えている患者に対する精神的なケアや、病気に伴う仕事の悩み、経済的な不安に対する相談なども含まれます。

緩和ケアと看取り介護は重なる部分がありますが、大きな違いは行われる時期です。
看取り介護は終末期に行われるものですが、緩和ケアは治療が始まった早い段階から行われます。

痛みや不安を解消することで治療の効果を高めることも期待され、必ずしも亡くなることが前提ではありません。

看取り介護をする場所

病院

看取りを行える病院として、療養型病院というものがあります。
急性期の治療が終わり、ある程度病状が落ち着いた方が入院できる場所です。

積極的な治療を行うというよりも、医療的な措置が可能な場所で介護を受けながら療養をする場所といえるでしょう。
療養型病院で看取りをする場合のメリットは、専門的な医療ケアが可能ということです。

例えば透析が必要な人、認知症の人などでも、受け入れてくれる所があります。
また24時間の対応が可能なので、急に容態が変化した時も、すぐに対応してもらえるでしょう。

終末期の人を自宅で看取る際は、少しも気が抜けないという場合がありますが、療養型病院なら多くを任せられるので安心です。

自宅

人生の最期を過ごすのは、住み慣れた自宅がよいと考える人もいます。
確かに、家族に囲まれながら自由に過ごせるという点では、病院よりも自宅の方が望ましいといえるかもしれません。

しかし、実際には自宅で最期を迎えるのは難しく、多くの人が病院等で亡くなっているのが現実です。
終末期の介護は家族だけでは大変で、急変した時の対応に不安を感じる家族もいます。

もちろん訪問医療などを利用しながら、自宅での看取り介護をすることも不可能ではありません。
本人も家族も自宅での看取りを希望するのであれば、ケアマネジャーやかかりつけ医と相談しながら態勢を整えることが必要です。

介護施設

介護施設に入居している人が、その施設で看取り介護をしてもらえる場合があります。
施設を終の棲家とし、それまで生活をしていた場所で世話をしてくれたスタッフに見守られながら最期を迎える形です。

ただし、看取り介護を行うためには、一定の条件を満たす施設でなければならないと介護保険法に定められています。
従って、施設に入居する際、やがて看取りをしてもらいたいと考えるなら、事前に確認をしておく必要があるでしょう。

例えば、常勤の看護師がいることや、職員が看取り介護の研修を受けていることなどが条件です。
最近では、このような条件を満たす介護施設が増えてきています。

看取り介護の内容

身体面のケア

看取り介護でも、基本となるのは日常的な身体的ケアです。
例えば、食事やトイレの介助、おむつ交換、入浴の世話などの介助があります。

その人の体調や能力に応じて介助を行うのは、通常の介護と同じです。
出来るだけトイレは自分で行きたいという希望があるなら、その援助を行うことになります。

ただし、体調が衰えていく中で、能力を向上させるリハビリのようなことは行いません。
身体的な苦痛を減らし、生活の質を向上させることが目標となります。

精神面のケア

終末期にある人は、死を迎えるということに強い不安を抱く可能性があります。
親しい人を残していくこと、人生が終わりになることに苦痛を感じるのも当然のことです。

これを少しでも緩和するために、介護をする人がコミュニケーションを図っていくことも精神的な看取り介護の一つといえます。
最期の時間を心細く感じている人が孤独感を感じないように、細やかな声かけをしていくことが重要となるでしょう。

また、その人のプライバシーを守ってあげるということも精神的なケアの一つとなります。

家族へのケア

介護施設での看取り介護においては、亡くなっていく人の家族に対してもケアが行われます。
出来る限り穏やかに最期の時を共に過ごせるように、様々な配慮や支援が行われているのです。

例えば、親しい人が亡くなることへの不安や介護の疲れを抱える家族もいます。
このような人の話に耳を傾け、相談に乗ることも家族に対するケアの一つです。

また、本人が亡くなった後も、グリーフケアという対応が行われます。
例えば思い出を語り合い、故人を慕う気持ちを分かち合うことで悲しみを癒し、お別れを受け入れられるように援助するのです。

看取り介護の流れ

施設に入所して看取りを行う場合、以下のような流れが考えられます。
段階に応じて介護スタッフが対応していくと同時に、本人や家族の心構えも変わっていくといえるでしょう。

適応期

施設入所後、最初はその環境に適応するまでに一定の時間がかかるものです。
この時期を適応期と呼びます。

それまで自宅や他の施設で過ごしていた人にとっては、大きく環境が変わり緊張するかもしれません。
特に認知症の人などは、落ち着かない様子を見せる場合もあります。

穏やかな終末期を過ごすためには、施設のスタッフと十分コミュニケーションを取ることが大切です。
特に配慮が必要なことについては、本人あるいは家族がしっかり伝えておくとよいでしょう。

安定期

施設の環境に慣れて、落ち着いてくる時期です。
生活の場としての施設になじみ、日々のリズムが出来てくるでしょう。

その人の体調に合わせて、この時期にしかできないことをしておきたいものです。
例えば、孫など幼い子供の面会、施設内の行事に参加する、外出外泊をするということも、この時期なら可能な場合があります。

不安定期

看取りが始まる最初の段階として、大きく体調を崩してしまう時期が来ます。
発熱や呼吸困難など危険な兆候が出て、また持ち直すという繰り返しが起こる可能性があるのです。

持ち直したとしても高齢者の場合、身体に負担がかかり徐々に衰えが進んでしまうかもしれません。
急に亡くなってしまうこともあり、これが辛いのは当然ですが、一進一退という状況も家族の疲弊に繋がります。

厳しいことですが、看取り介護の中では多くの人が、このような時期を通る可能性があるのです。
このような段階では、会わせておきたい親族などに連絡をし、面会させておくことも検討しましょう。

看取り期

回復が見込めず、亡くなっていく様子を見守る時期です。
家族としては、この時期いつでも連絡が取れるようにしておき、急変があればすぐに駆け付けられる態勢をとっておきましょう。

また出来るかぎり本人のそばにいて、声かけをしたり手を握ってあげるなど、心細くならないようにしてあげることも大切です。

看取り後

亡くなった直後は、家族と故人が共に過ごす時間がとられるでしょう。
また、エンゼルケアといってご遺体を綺麗にし、化粧を施すなどの措置を介護スタッフや看護師が行います。

その後、葬儀社への連絡や自宅への搬送などの対応をすることになるでしょう。
施設を離れる際には、介護スタッフや同じ施設に暮らす利用者が見送ることもあります。

看取り介護のためには介護のプロの手を借りると安心

看取り介護で大切なことは、心身の苦痛を和らげつつ、できるだけ穏やかに終末期を過ごすこと。
特に介護が必要な人の看取りでは、家族だけでなく介護のプロの手助けがあると安心です。

そのため、介護施設や療養型病院など、専門のスタッフが看取り介護をしてくれるところがあります。
自宅でも看取り介護は不可能ではありませんが、介護サービスや訪問医療の利用は必要です。

どのような形で最期の時を過ごすのか、ケアマネジャー等と話し合って考えておきたいものですね。

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