介護のユニットケアとは?介護が必要になっても普通の暮らしを!

公開日: 2022年05月27日

更新日: 2022年05月27日

  • 介護・高齢者施設

最近注目されている介護施設の形として、ユニットケアというものがあります。
相部屋ではなく、個室の集まりである「ユニット」を使い介護をするものです。

まずは、従来の施設と、どんな違いがあるのか見ていきましょう。
また、そのメリットとデメリットについても知っておきたいものですね。

さらに、その選び方についても解説します。

ユニットケアとは?

ユニットケアとは、介護施設における一つのケアの形です。
最近、特別養護老人ホームを中心に、個室がいくつか集まった「ユニット」を作り、ユニットごとにスタッフを配置するという方法が導入されつつあります。

このような形であれば、プライバシーが保たれ、それぞれのペースに合わせて生活できます。
また、担当のスタッフが決まっているので、家庭的な雰囲気があり細やかなケアが可能なことから注目を集めています。

個人の自由や尊厳を大切にするという理念のもと、ユニットケアを導入を検討する施設が増加しているのです。

ユニットケアと従来型ケアの違い

従来の特別養護老人ホームなどでは、4人程度の相部屋が連なるフロアがあり、利用者がそこで寝起きをしています。
食事の際は大きな食堂で決まった時間に一斉に食べるという形が普通で、入浴も流れ作業で行われることが多いのです。

しかし、ユニットケアを採用している施設では、共有のリビングを囲むように個室がいくつか配置されています。
食事・入浴は、個人個人のペースに合わせて行われることになるのです。

また、これまではスタッフが多くの利用者を一度に面倒を見ることになり、一人一人に目が届きませんでした。
しかし、ここでは担当のユニットが決まっているので、スタッフが個人個人の状況を十分に把握できます。

いつも一緒に過ごしているため、体調や要望をつかみやすいことも特徴です。

ユニットケアのメリット

一人一人に寄り添ったケアが提供できる

基本的に、一つのユニットで生活している人は10名くらいです。
少ない人数を決まったスタッフが見ているので、お互いに信頼関係を築きやすいといえるでしょう。

スタッフは普段から長い時間共に暮らしているので、1人1人の状況をよく知っています。
その分、きめ細やかなケアが期待できるのです。

例えば、食事の仕方や排せつのタイミングを個別に把握し、その人の状況に合わせて援助できます。
その人の性格や好みを理解した上でケアしてくれるので、トラブルが減るかもしれません。

また、個室で暮らしているので、夜間に何か対応をしてもらうような時も他の利用者を煩わせずに済みます。
周囲の利用者に迷惑をかけずに、十分なケアができますね。

インフルエンザなど感染症が流行している時は、集団で暮らしていると感染が心配なことがあります。
しかし、個室で生活しているので周囲を気にせず、1人1人に合った対応をしてもらえるでしょう。

人間関係が築きやすい

(財)医療経済研究機構は、平成12年から13年にかけてユニットケアについての調査研究を行いました。
それによると、ユニットケアを利用することで、ベッド上で過ごす時間が減り、人と交流する時間が増えたとのことです。

ユニットケアでは、個室を出ると、そこが共有のリビングになっています。
ここで、他の入居者と交流することができるようになっているのです。

いつも同じ仲間と共有のリビングで顔を合わせるので、人間関係が築きやすいといえます。
高齢者にとって、他人との交流は心の健康のためにも大切です。

自宅や家族から離れ施設で暮らす寂しさを、家庭的な雰囲気で解消できるのも、メリットといえるでしょう。

プライベートの時間を確保できる

個室が一人一人に用意されている、というのも大きなメリットの一つです。
プライバシーを尊重でき、その人らしい生活ができる形になっています。

相部屋の場合、他人のいびきや物音に悩まされることがありますが、ここではその心配は少ないといえるでしょう。
また、他人のおむつ替えの匂いに悩まされたり、自分の排せつについて人に知られることもありません。

また、大きな特徴としては、スケジュールが個人の自由になっているという点が挙げられます。
従来のように、流れ作業で入浴する必要はなく、食べたくないときに無理に食べさせられることもありません。

自宅にいる時と同じように、自分のタイミングで寝起きして、食事や入浴なども個人個人のペースで対応してもらえます。
このようなメリットは、従来の施設ではなかなか得られないものといえるでしょう。

家族が訪問しやすい

個室で生活しているので、家族が訪問しやすいというのもメリットの一つです。
相部屋の場合は、どうしても他人が気になるので、落ち着いてベッドサイドで過ごすことができません。

時間をかけてゆっくりと過ごし、時にはプライバシーに関わるような話をするのは、他人も一緒の部屋では難しいもの。
スタッフがそばにいては話しにくいようなことでも、個室にいれば何も遠慮する必要がありませんね。

従来のような形の面会では家族が落ち着いて過ごせないため、訪問をためらうようになることもあります。
自宅を離れて過ごす高齢者にとって、家族の訪問は大切なものなので、個室で一緒に過ごせるというのは大事な点といえるかもしれません。

ユニットケアのデメリット

トラブルが起こると気まずさを感じる

ユニット内では、少人数の入居者と共同生活を送る形になります。
どんな人であっても、人間同士、トラブルが起こる可能性が全くないとはいえないでしょう。

これまで、全く別の生活をしてきた人、様々な価値観を持つ人が共に暮らすのです。
迷惑を掛けたり、逆に迷惑をかけられてしまうこともあるかもしれません。

特定の人と喧嘩になることや、嫌な言動をされて悩むということもありえます。
毎日、家族のように顔を合わせて生活する分、人間関係のトラブルが発生すると大変かもしれません。

こうなってしまうと、その後の生活に支障が出る可能性もあります。
トラブルが発生しないように、気遣い合って生活しなくてはならないというのは、デメリットといえるかもしれません。

特に、人付き合いの苦手な人にとっては、要注意となるポイントです。

従来型と比較して費用が高くなる

問題とされる点としては、費用の高さも挙げられます
従来の介護施設と比べると、設備が充実しており、手厚いサポートをするため、どうしても様々な費用がかさんでしまうのです。

例えば、従来は相部屋だったのですが、個室なので居住費が高くなります。
同じ部屋で数人が利用するタイプと比べると、光熱費も割高になるのは仕方がない部分でしょう。

またスタッフの配置が手厚く、細やかなケアをするため、介護サービスの費用も高く設定されています。
これらを合計すると、特別養護老人ホームの場合でも、月額11~14万円くらいの費用がかかるのです。

相部屋の場合、8~9万円台が相場なので、従来のタイプと比べて4~5万円は高くなると考えておくとよいでしょう。

最適なユニットケアを選ぶポイント

下調べや下見をする

施設への入居を希望する際は、まず、初期費用や月々の利用料を見積りし、無理をせずとも支払って行けるかどうか確認することが必要です。
年金で払えない分は、貯金を取り崩すか家族を頼るしかないので、予算はしっかり立てておきましょう。

また、施設によって入居の条件や、退去となる条件が決まっています。
介護度や認知症の有無によって入居できない施設、体調が悪化した場合、退去しなくてはいけない施設もあるので、確認しておきましょう。

また可能であれば、複数の施設を見学して比較しておきたいものです。
自分の目で、その施設の雰囲気や部屋の様子、設備を確認しましょう。

入居の前には、ショートステイをしてみるのもお勧めです。
スタッフの介護の仕方を実際に体験しておくと、安心ですね。

本人の希望や現状に合わせる

ユニットケアが向いているかどうかは、人それぞれです。
他の入居者や介護スタッフと親密な人間関係を築きたいと考えている人には、向いているかもしれません。

また、介護度の高い人、認知症の人にとっては手厚く細やかなケアが受けられるので、メリットが大きいといえます。
一方、介護度が低い人や人との関わりが苦手な人は、他の入居者やスタッフと家族のような過ごし方をするのは面倒と感じるかもしれません。

どのようなタイプの施設を選ぶかは、まずは本人の希望に沿って考えたいものです。
また、身体の状況を見て、ケアの内容が本人に合っているかどうか確認することも大切ですね。

入居してから「向いていなかった」ということにならないよう、施設の状況と本人の意思をよく確認してから決めましょう。

ユニットケアにおける介護の特徴をよく確認しよう

ユニットケアは個人の自由を大切にし、高齢者の尊厳を考えた介護の方法といえます。
個室で生活しつつ、手厚く家庭的なケアが受けられるというメリットがありますね。

しかし、そこにはデメリットがないわけではありません。
費用が割高で、このようなタイプの施設やケアの方法が合わない人もいます。

どのような施設に入居する際にもいえることですが、よく確認してから決めましょう。

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