介護療養型医療施設の特徴について!入所の流れや今後の動向もご紹介

公開日: 2021年08月23日

更新日: 2023年03月13日

  • 介護・高齢者施設

介護療養型医療施設とは、どんな施設なのでしょうか。
ここでは、その特徴を解説します。

まずは、この施設の利用条件や入所方法について見ていきましょう。
また、介護療養型医療施設で提供されるサービスや、他の施設との違いについても説明します。

更に、この施設のメリットやデメリット、今後の動向についても確認しておきたいポイントす。

介護療養型医療施設とは

この施設は、療養が必要な高齢者のために、介護と医療ケアの両方を提供する所です。
運営しているのは医療法人や地方自治体・社会福祉法人で、病院に併設されていることもあります。

対象となるのは、要介護度が高く、介護と同時に医療的な処置が必要な場合です。
例えば、痰の吸引や経管栄養などが必要な人が、身の回りの世話をしてもらいながら長期間療養できます。

ただし、介護療養型医療施設は厚生労働省の方針として2024年度には廃止されることが決まっています。
そのためこの施設の新設は2012年からストップしており、介護医療院への移行が進んでいます。

その結果、この施設の数や利用者数も減ってきているのが実情です。
入所中の人は、その施設自体が介護医療院等に転換されることもありますが、他の施設への移動が必要な場合もあります。

介護療養型医療施設への入所

入所条件

この施設を利用できるのは、原則として65歳以上の高齢者です。
また、要介護1〜5という認定を受けていなければなりません。

なお、施設によって細かく入所条件が定められていることがあるので注意が必要です。
例えば、伝染病の人は不可などの条件があります。

また40歳から64歳の人でも、特定の疾患があり、要介護の認定を受けた人ならこのような介護保険を使った施設の利用が可能です。
末期ガンやリウマチ、若年性認知症など16種類の特定疾患に当てはまる場合は、自治体の窓口で相談してみましょう。

入所期間

この施設では、必要があれば長期間入所して介護を受けることができます。
しかし、あくまでも医療の必要な要介護高齢者の療養施設という位置づけなので、亡くなるまでずっといられるとは限りません。

施設内での医療が必要でなくなれば、利用条件を満たさなくなるのです。
もしも、心身の状態が回復し、自宅や他の施設での生活が可能になれば、退所を求められる可能性もあります。

一方、療養中に亡くなってしまう場合もあり、その際は看取りの対応も可能です。

入所の流れ

この施設に入居を希望する場合は、まず要介護という認定を受ける必要があります。
本人の住民登録がある自治体の窓口で、介護認定を受けたい旨、申請をしましょう。

申請後、1か月ほどで認定の結果が出ますが、要介護1~5という認定が出たら施設に直接入所申込みをします。
市町村に施設の一覧表があるので、その中から選んで申込書の提出をしましょう。

希望する施設が複数ある場合は、併願での申し込みが可能ですが、その際はそれぞれの施設に申込書を提出する必要があります。
その後、施設側や行政の担当者による審査が行われるのです。

介護度や本人の状況、資産・収入なども勘案し入所が相当との判定が出れば、施設と契約をすることになります。
ただし、現在のところ定員がいっぱいで入所まで待機している人も多いのです。

入所を希望する場合は、早めに手続きを進めることが必要でしょう。

介護療養型医療施設の特徴

この施設は、介護度が高い人を対象としているのが特徴です。
要介護1~5の方が入所可能ですが、実際に利用している人のうち半数以上が要介護5(平成30年度厚生労働省統計)となっています。

病院や診療所が運営しており、入居者100人につき医師を3人以上は配置しなくてはなりません。
しかも、そのうち1名は常勤となっています。

看護・介護のスタッフは100人につき、それぞれ17人以上。
ケアマネジャーは常勤が1人以上です。

その他、リハビリを担う理学療法士または作業療法士の配置もあります。
医療や介護の体制が十分にあるといえるでしょう。

一方この施設は医療や看護の提供を主な役割とするので、基本的に季節のイベントやレクリエーション等はありません。
この点が、老健や介護医療院等と異なる点といえます。

介護療養型医療施設のサービス

医療的なケア

この施設は介護施設の一つですが、医療でしかできないケアが常時提供されます。
例えば、酸素吸入や胃ろう・経管栄養の管理、痰の吸引などが可能です。

その他、必要に応じてインスリンの注射、導尿、褥瘡の処置なども行われます。
療養生活の中で、日常的に必要となる医療ケアを受けられるのです。

また、必ず医師が診察を行い、必要があれば検査や手術などに繋げてくれます。
このような対応が可能なのは、医師や看護師が常駐しているためです。

普通の介護施設などでは、このような手厚いケアは受けられません。
医療ケアが24時間可能なのが、この施設の大きな特徴です。

介護職員の介護

入所している間は、介護職員による介護が受けられます。
例えば、食事や排泄、入浴の介助などです。

例えば、足腰が弱っている人をトイレに連れていき排泄をさせる、あるいはおむつを替える対応が挙げられます。
身体が不自由な人でも入浴できる施設が設けられており、それを使って湯船に浸かる・身体を洗う等の介助をしてもらえるのです。

介護の専門スタッフが、その人の能力に応じて必要な手助けをしてくれます。
ただし、主な介護は身体介助であり、生活援助は充実していない可能性があるのです。

食事の提供はされますが、買い物などを頼むことは出来ないことも多いので注意が必要でしょう。
洗濯や掃除などのサービスも、あまり充実していません。

リハビリテーション

施設内では、その人の状況に合わせてリハビリが行われます。
リハビリを行うのは、機能訓練指導員や看護師です。

また、施設内の理学療法士や作業療法士がリハビリを担うところもあります。
このような医療スタッフが訓練やマッサージなどをしてくれるのです。

例えば、長期間ベッドの上で生活していると、足腰が弱る人や拘縮といって身体が固まってしまう人もいます。
このような人に対してリハビリを行うことで、身体機能の維持改善や苦痛の軽減ができるのです。

介護療養型医療施設の費用

介護療養型医療施設においては、入居する際に一時金等を支払う必要がありません。
月々にかかった費用が請求されます。

1か月に発生する費用の目安は、おおむね9〜17万円程度です。
その内訳には、介護サービス費に加えて、居住費・食費・生活費が含まれます。

介護サービス費は、要介護度や部屋のタイプによって金額に差があり、介護度の多い人ほど高くなるものです。
介護保険が適用されるので、比較的少ない自己負担で利用できるでしょう。

また、年収が低い人には軽減措置もあります。

介護療養型医療施設のメリット・デメリット

メリット

費用の負担が軽い

利用の際は、他の施設よりも、費用負担が少なくて済む可能性があります。
例えば、有料老人ホーム等の場合、入所の際に多額の初期費用を用意しなくてはなりませんが、ここでは必要ありません。

また、月々に支払う費用も比較的安価です。
市町村の住民税が非課税の世帯では、負担軽減のために居住費や食費の減額もあります。

例えば、食費は本来、月41,400円ですが、本人の公的年金と他の収入を合わせた金額が80万円以下なら11,700円です。
資金が乏しい人でも、無理なく療養生活を送れるでしょう。

医療ケアやリハビリが充実している

この施設には、法律によって人員配置の基準が定められています。
特に、医師や看護師の配置が手厚いのです。

このような医療スタッフによって、日々の医療ケアの管理や指導が行われています。
急に体調が悪くなった時も、すぐに対応が可能です。

また、必要な時には医師が診察を行い、その結果に基づいて更なる医療措置に移行することもできるでしょう。
通常の介護施設よりも医療という面で手厚いということが、大きなメリットと言えます。

デメリット

多床室が一般的である

この施設の場合、従来型の多床室が多いと言えます。
つまり、他人と同じ部屋での共同生活を余儀なくされるのです。

この場合、プライバシーを守ることが難しく、また、他の利用者とのトラブルも想定されます。
他人同士での生活では起こりがちなことですが、慣れない人にとっては辛く感じられるかもしれません。

レクリエーションなどがない

この施設では多くの場合、イベントやレクリエーションなどはありません。
通常の介護施設にあるような、音楽や手芸、季節の行事を楽しむ等の機会がこの施設では設けられていないのです。

療養を中心とする施設なので仕方がないのですが、生活を楽しむチャンスがなく寂しいと感じる人もいるでしょう。

介護療養型医療施設ではしっかりとした医療ケアが受けられる

介護療養型医療施設は、介護度の重い高齢者が療養できる施設です。
医療と介護の両方が提供されるところで、通常の介護施設とは異なり、しっかりとした医療ケアが受けられます。

ただし、レクリエーションなどは行われず、高齢者の生活の場としては物足りなく思う人もいるかもしれません。
また、この施設は近いうちに廃止が予定されており、その代わりに介護医療院の設置が進められているという点も知っておきましょう。

くらし全般

身元保証

相続・遺言

介護・高齢者施設

葬儀・供養