介護における歩行器の役割とは?歩行器選びのポイントもご紹介!

公開日: 2023年06月22日

更新日: 2023年04月07日

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介護における歩行器とは?

歩行器は介護保険の適用が受けられる、福祉用具の一つです。
高齢や障害で歩くことに不安が生じた時、歩行を助ける働きをします。

歩行が困難になった人は杖を使うこともありますね。
しかし、歩行器の場合は4本の足がついており、両手でつかんで使用するので杖よりも安定感があります。

筋力が低下すると、姿勢を保つことが難しくなり前かがみになりがちです。
左右の手で歩行器をつかむことで、しっかり前を向き足を運びやすくなります。

また足腰が弱っているために転倒が心配な人も、歩行器に頼れば安心して歩けるかもしれません。
身体に合った歩行器を使うことで、行動範囲が広がり介護者も楽になります。

このような歩行器は、介護保険を使えば少ない自己負担でレンタルできるのも特徴です。

歩行器とシルバーカーの違い

構造

歩行器に似たものとして、シルバーカーという名称のものがあります。
高齢者が買い物の時などに使う手押し車です。

シルバーカーと歩行器の構造で大きな違いといえば、グリップの形状があげられます。
シルバーカーのグリップは横向きの1本のバーですが、歩行器の場合、2つのグリップを左右の手でそれぞれつかんで使うのです。

また歩行器には、左右の前腕をトレイの上に置き、もたれる体勢で押すタイプもあります。

利用対象者

シルバーカーも歩行器も高齢者が使うものですが、歩行器は特に歩行に不安が大きい人のためのものです。
歩行がスムーズにできない場合に使用が検討されます。

そのため、歩行器は室内で使うタイプのものもありますが、シルバーカーは買い物など外出中に使うものに限られているのです。

介護保険の適用

歩行器の場合は、介護保険を利用できます。
介護認定を受けて必要と認められれば、少ない自己負担でレンタルできるのです。

一方シルバーカーの場合は、介護保険の適用がありません。
従って、使いたい人は自分で購入することになります。

歩行器の種類

固定型歩行器

使用方法

固定型の場合、歩行器そのものを持ち上げて少し前方に置き、それを支えに歩いていきます。
歩行器に追いついたら、また持ち上げて前方に置くという繰り返しです。

使い方のイメージとしては杖と似ているのですが、杖よりも更に安定した移動ができるものと考えてよいでしょう。

おすすめの人

このタイプを使うのは、上半身の筋力はあるが歩くことに困難がある人です。
杖だけでは身体を安定させることが難しい人でも、この歩行器を使えば少しずつ歩ける可能性があり、リハビリにも使われます。

ただし、あまり早く歩けず、小回りもきかないので室内での移動を補助したい時に使うのがおすすめです。

特徴

腰くらいの高さまである金属性のフレームに、左右のグリップがついています。
このフレームは、持ち上げやすいようにアルミなど軽い素材で作られているのです。

フレームには4本の足がついており、その先端にはゴムがついていて、滑りにくくなっています。

交互型歩行器

使用方法

このタイプは左右のフレーム上のグリップを握り、これを交互に前に出しながら歩いていきます。
左のフレームを前に出すと同時に右足を出し、右のフレームを前に出すと同時に左足を出すという繰り返しです。

おすすめの人

このタイプを使うためには、多少のバランス感覚が必要です。
ただ、フレーム全体を持ち上げる必要がないので、少々筋力が弱い人でも使える可能性があります。

また、片足だけにトラブルがあるという人も使いやすいのでお勧めです。
ただし、認知症などで混乱しやすい人の場合は、手順を理解しにくいかもしれません。

特徴

一見すると固定型の歩行器と形が似ています。
腰くらいの高さにフレームがあり、両側にグリップがあること、4本の足がついていることも同じです。

ただし、左右のフレームがそれぞれ前後に動くようになっています。
これを交互に動かしながら使うことができるのです。

キャスター付き歩行器

使用方法

キャスター付きの歩行器は、歩行車とも呼ばれます。
歩行器の中に身体を入れるようにし、両脇にあるグリップを握り、前方に押し出して歩いていく形です。

製品によっては、前腕を置くトレイがあり両腕をもたせかけて使うタイプもあります。

おすすめの人

歩行に不安があるけれども、外出をしたいという人に向いています。
このタイプなら小回りが利き、ある程度の段差があっても乗り越えられるからです。

ただし、やや重いことや車輪の取り回しが必要なことから、ある程度の体力がないと上手く使えない可能性があります。

特徴

4本の足についている車輪のうち、後ろの2つは向きが固定されています。
前方の2つは左右に動くようになっており、カーブを描くように進むことが可能です。

手元のグリップにはブレーキがついており、坂道を降りる時などはこれを使うことで安定して歩けます。
4本の足の間には、荷物を入れられるボックスがついていることが多く、買い物の時などは便利です。

折り畳みが出来るタイプなら、使わないときはたたんでコンパクトに収納することができます。

モーター付き歩行器

使用方法

モーター付きの歩行器も、基本的な使い方は一般的なキャスター付き歩行器と同じです。
歩行器の中に身体を入れるようにして、両脇のグリップを握り、押していきます。

使う前には、バッテリーを充電しておき、操作パネルで電源スイッチを入れなくてはなりません。

おすすめの人

モーター付きの歩行器の場合、動かす力をアシストしてくれるので、比較的力の弱い人でも使えます。
腕の力が弱く、普通のキャスター付き歩行器では左右に曲がるのが大変という人でも大丈夫です。

また、坂道を昇り降りする必要がある人も、力を足してくれるので楽に歩けます。
坂道や左右に傾きのある場所で、上手に動かせず苦労する人にはこのタイプが向いているでしょう。

特徴

モーターの力で、利用者の動きをアシストしてくれます。
歩行器そのものが勝手に動くわけではなく、本人が押した時だけ力を足してくれるイメージです。

また、下り坂などでスピードが出過ぎた時には、自動的にブレーキがかかり、一定以上の速度が出ないようになっています。

歩行器を使うメリット

足腰への負担を軽減できる

歩行器の利用により体重を分散させ、歩く際の足腰への負担を軽くします。
また、安定した形のものにつかまって移動するので、バランスを崩しにくくなり転倒を予防できるのです。

高齢や障害で、足腰に不安を抱える人は多くいます。
ひざや腰が痛むからと歩くことを避ける人や、筋力が衰えて長時間の歩行に自信が持てない人もいるでしょう。

歩行器を使えば、上半身の身体を支えてもらえます。
足腰にかかる体重を減らせるので、その分楽に歩けるようになるでしょう。

また、姿勢が安定しない人もまっすぐ前を見て歩けるようになります。
歩行器につかまることで転びにくくなることに加えて、正しい姿勢を保つことで腰への負担も減るでしょう。

行動範囲が広がる

自分に合った歩行器を使い歩く機会を増やせば、行動範囲が広がります。
そのことが、心身の健康増進に繋がる可能性があるのです。

歩行器を使えば身体を動かす機会が増え、自分で歩けるという自信もつきます。
そのことが、身体的にも精神的にも良い効果をもたらすのです。

歩きにくくなったからといって何もかも介護者にお任せにしてしまうと、どんどん身体は衰えていくもの。
買い物や友人との集まりなど、外出をためらうようになると精神的にも衰えてしまいがちです。

必要であればヘルパーや家族に介助をしてもらって、車椅子等を使うことも間違いではありません。
ただ、もしも可能であれば歩行器の力を借りながら、できるだけ自分の力で歩きたいものです。

それによって、自信を失わずに済み、老化の進行を遅らせる可能性があるでしょう。

歩行器選びのポイント

自分の身体の状況に合わせる

歩行器を使う際は、利用者の体力や身体機能に合ったものを選びましょう。
歩行器の種類によっては、上半身の力や操作する能力が必要な場合があるからです。

例えば、固定型歩行器の場合は、歩行器そのものを持ち上げる必要があるので、それが可能か試してみる必要があります。
キャスター付き歩行器も、腕の力でスムーズに曲がれるかどうか、実際に試してみるとよいでしょう。

身体機能に合っていないものを使うと、かえって足腰を痛める危険があるので注意が必要です。

利用する場所や目的に合わせる

歩行器を使う場所によって、種類を使い分けることも必要です。
屋内で利用する場合には、安定性の高さを重視し、固定型や交互型のものが多く使われます。

また、食事や飲み物を載せて運べるようになっているものもあります。
室内で日常的に使う際には、このようなタイプのものだと便利ですね。

屋外で利用する場合には、キャスター付き歩行器が向いています。
段差がある時には前輪を持ち上げて乗り越えることができ、小回りもきくからです。

また、このタイプの場合、ブレーキがついているので下り坂でも安定して歩けます。
きつい坂道を昇り降りしなくてはならないような場合は、モーター付きを使えば更に安心です。

どのような場面で使うのか、実際の生活を思い浮かべて選ぶようにしましょう。 

高さやサイズを合わせる

歩行器を使う時には、グリップの高さに注意しましょう。
身体に合わない高さのものを使うと、転倒してケガをするなど事故の原因になる危険性があります。

また、高さが合わないまま使い続けると、足腰に負担がかかり症状が悪化するかもしれません。
できれば、高さを調節できるようになっているものを選び、ちょうどよい高さに合わせて使うとよいでしょう。

歩行器のレンタル

歩行器は、介護保険を使えば少ない自己負担でレンタルすることができます。
料金は固定型で1か月3000円程度ですが、介護保険を使えば1割(所得により2~3割になることも)の300円程度で済むのです。

キャスター付き歩行器なら1か月400~600円程度、モーター付きでも700~800円程度でレンタルできます。
歩行器を使いたいと思ったら、まずは介護認定を受け、担当のケアマネジャーに相談をしてみましょう。

その上で、ケアプランに歩行器のレンタルを組み込んでもらうのです。
その後、ケアマネジャーがレンタル業者を紹介してくれるので、身体に合う製品を選び契約をします。

レンタルの場合、自分に合わなければ別の物に替えてもらうことも出来るのが利点です。
定期的にモニタリングが行われるので、そのつど相談ができ、1か月単位で借りられるのも助かりますね。

歩行に不安が出てきたら介護保険を使って歩行器のレンタルを検討しよう

歩行器は歩行を補助するための専用の器具ですが、使っている人を多く見かけるようになりました。
これを使うと、杖だけでは歩行に不安がある人でも自力でスムーズに歩けるようになる可能性があります。

1人で歩けるということは、自分に自信が持てる、行動範囲が増えるなど心身の健康維持のために大切なことです。
歩行器は介護保険を使って、少ない自己負担でレンタルすることができます。

歩行に不安のある人は、ケアマネジャーに相談をして歩行器レンタルの利用を検討しましょう。

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