お墓を持たない供養の方法!自分に合ったお墓・供養のあり方を探ろう

公開日: 2023年07月11日

更新日: 2023年06月05日

  • 葬儀・供養

そもそもお墓とは?

お墓とは、そもそもどんな役割を持った場所なのでしょうか。
一つには、ご遺体や遺骨を埋める、あるいは納める場所であるといえるでしょう。

もう一つの役割は、亡くなった方や自分のご先祖の冥福を祈るための場所というものです。
故人をしのび感謝をささげるため、命日やお彼岸などに墓参りをする習慣がありますね。

日本では、江戸時代、檀家制度によって寺にお墓を作ることが一般化しました。
しかし、当時は一人につき一つのお墓であり、現在のように「家」のお墓を作るようになったのは明治時代です。

墓地の不足と火葬の普及によって、家ごとにまとめて遺骨を納めるお墓が多く作られるようになりました。
しかし、最近では価値観が多様化しており、お墓に対する考え方も変化してきています。

これからのお墓のあり方について、改めて考えてみることが必要なのかもしれません。

「お墓を持たない」という選択

近年、お墓を持たないという選択をする人が増えてきています。
従来は先祖代々のお墓に、遺骨を納めるというのが普通でしたが、それを避ける人がいるのです。

もし自分が亡くなっても、先祖代々のお墓には入らないという人。
また、墓じまいをして、家のお墓自体を片付けてしまう人もいます。

このような選択をする一つのケースは、お墓の継承者がいない、あるいはお墓の管理が難しいという場合です。
現在の日本では、少子化や核家族化が進んでおり、お墓の面倒を見られない人が増えたことがその背景にあります。

また宗教に対する考え方など価値観の変化に伴い、従来のような供養の形にこだわらない人も増えました。
死生観のひとつとして、お墓を持たないという選択をする方もいるのです。

お墓を持たない供養の方法

永代供養

先祖代々のお墓に入らない場合、永代供養墓に入るという方法があります。
これは、他の人と一緒に一つのお墓に埋葬される合同墓や納骨堂などです。

通常のお墓の場合、親族などがお墓の掃除や供養をしなくてはなりません。
しかし、永代供養墓の場合は霊園やお寺が管理し、一定の期間は供養をしてくれます。

そのため、子孫がお墓の管理で苦労することがなく、身寄りがいない人でも安心です。
また、この場合、管理費を毎年払う必要がなく経済的な負担が少なくて済みます。

ただし、他人と一緒という点で抵抗がある人もいるかもしれません。
一定の期間がたつと、お骨をまとめて合祀するという例もあります。

手元供養

遺骨をお墓に納めず、遺族の手元に置いて供養する方法です。
遺骨の一部分だけを手元に置く方法と、すべてを自宅に置く方法があります。

例えば、お墓が遠方にあって墓参りが大変な場合や故人と別れがたい気持ちが強い場合。
自宅に遺骨を置く場所を作る、遺骨の一部をペンダント等に入れて身につけるという方法もあります。

遺骨を自宅に置いておくことについては、法律的には何の問題もありません。
気持ちの整理がつくまで、お墓に入れないというのも一つの方法でしょう。

ただし、その遺骨を守る人がいなくなった場合には、別の方法を考えなくてはなりません。
また、骨壺が割れる、カビが発生するなどのトラブルにも注意が必要です。

樹木葬

樹木の根元に散骨等の方法で埋葬するのが、樹木葬です。
一般的には、樹木が植えられた専用のスペースが霊園内に設置されており、他の人と一緒に埋葬されます。

従来の墓石のような冷たい感じがなく、自然の中に還っていくというイメージが持てるかもしれません。
樹木葬には木の根元に散骨する形のものと、個人別の容器に遺骨が収納される形のものがあります。

永代供養墓の一種なので、比較的費用負担が少なく、毎年の管理費も不要です。
なお、散骨する形の場合は、他人の遺骨と混ざることになるので、そのことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。

散骨

散骨は、粉状にした遺骨を自然環境の中にまく方法です。
最も多い方法としては海洋散骨が挙げられます。

業者に船を出してもらい、決められた海域で遺骨をまくのです。
その他、バルーン葬といってヘリウムガスを詰めた風船に遺骨を詰め、成層圏にまく方法もあります。

ロケットで遺骨を打ち上げる宇宙葬も散骨の一つですが、遺骨のうち数グラム程度しか使えません。
残りの遺骨は別の方法で供養する必要があります。

いずれも自然に還るというイメージが持てるし、海洋散骨やバルーン葬ならお墓が全く不要になるメリットがあります。
ただし、墓参りなどができず、完全に遺骨がなくなってしまうことに寂しさを感じる人もいるかもしれません。

ゼロ葬

ゼロ葬とは、火葬のあと遺骨を受け取らないという方法です。
骨上げをせず、火葬場にすべての遺骨を任せてしまうので、お墓が必要ありません。

最も簡素な方法を選ぶとしたら、この方法があるでしょう。
ただし、火葬場によっては遺骨を引き取ってくれない場合があります。

また一度遺骨を任せてしまうと、その後は他の人のお骨と混ぜられてしまうので、後から戻してもらうことは不可能です。
本人や家族がそれでよいと考えていても、親戚などに反対されるかもしれません。

お墓を持たないことのメリット

維持・管理がいらない

お墓があると、定期的にお参りをして掃除などをする必要があります。
特に、自宅から遠いお墓や交通の便が悪いお墓などは、通うのが大変です。

高齢になると、お墓参りが負担になり放置してしまうというケースも出てきます。
また、一人っ子の場合、その子供にかかる負担が大きくなってしまうでしょう。

お墓を持たない・作らない場合には、このような心配がいらなくなりますね。

お金がかからない

お墓の維持管理には、一定の費用が掛かります。
例えば、墓石の費用や霊園の永代使用料はかなり高額です。

また一旦お墓を建てると、毎年管理費を支払う必要があります。
遠方に住んでいると、お墓参りをするための交通費なども必要です。

お墓をなくすか永代供養墓にすれば、金銭的な負担は少なくて済むでしょう。

継承者がいらない

お墓を維持していくためには、継承者が必要です。
時には、誰がお墓の面倒を見るのかと、親族の中で押し付け合いになってしまうことがあります。

また、子供がいないために、誰も面倒を見ることが出来ない場合もあるのです。
結果的に無縁墓となり荒れ果ててしまい、霊園等に迷惑をかけることにもなりかねません。

墓じまいをしてしまえば、このような心配はなくなります。

お墓を持たないことのデメリット

手を合わせる対象がない

お墓を持たない選択をすると、残された人が手を合わせる場所がなくなります。
故人を偲んでお参りやお供えをしようと思っても、できなくなってしまうのです。

人によってはお墓参りをすることで、故人に再会できたような気持ちが持てることもあります。
お墓をなくすことで、その拠り所がなくなってしまうように感じるかもしれません。

遺骨の取り出しができない

散骨や合同墓の場合、後から遺骨を取り出したいと思っても不可能な場合があります。
自然に還ってしまうか、他人の遺骨と混ざってしまうからです。

人によっては後になって、遺骨というものが無くなってしまうことに寂しさを感じるかもしれません。
その時、取り返しがつかない場合があるのです。

親族間トラブルの可能性がある

人が亡くなったらお墓を建て遺骨を埋葬するということは、習慣として根強く定着しています。
近年は、お墓を持たないという選択も珍しくなくなってきましたが、受け入れられない人もいるでしょう。

散骨や永代供養墓を選ぶことで、親戚から非難されたり、トラブルになったりするかもしれません。
本人や身近な家族が納得していても、他の親戚などの説得が必要となる可能性があります。

現在のお墓はどうすればいい?

もしも先祖代々のお墓をなくしてしまうとしたら、墓じまいをする必要があります。
後を継ぐ子供がおらず、将来的に無縁墓になるようなら、墓じまいをしておきましょう。

まずは、お墓の中にある遺骨をどうするか決めます。
他に親戚などがいるようなら相談することも必要です。

その上で、永代供養墓や散骨など方法を決めて契約をします。
現在お墓のある自治体の役所で手続きをして、改葬許可証を発行してもらうことも必要です。

お寺にお墓がある場合は、檀家を離れる手続きが必要で、数万から数十万円の離檀料を請求される場合もあります。
また、お墓の魂抜きの法事をするので、3~5万程度のお布施が必要です。

石材店に依頼して、お墓からすべての遺骨を取り出したのち、墓石を撤去、更地に戻します。
この時の費用は、30万~50万程度が相場です。

お墓を持たない選択はメリットも大きいが親族と相談が必要

近年、先祖代々のお墓を継承する人がおらず、墓じまいをする人が増えています。
自分自身が亡くなった後も、永代供養墓などを利用すれば心配ありません。

また、散骨や樹木葬で自然に還りたいと考える人もいます。
より簡素な形で供養することで、お墓の維持管理が不要になり、金銭的にも負担が軽くなるでしょう。

ただし、お墓を持たない選択は理解を得られない場合もあります。
親族とよく相談をしたうえで、最善の方法を探す必要があるでしょう。

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